花崗岩山地の開発に関連して

Feb. 20, 2019作成   Feb. 24, 2019追加修正 

I. GrassGIS出野作業: データベース作成メモ

II. 花崗岩山地の開発予定域のGIS上での確認

はじめに

Feb. 20, 2019  中国山地から続く近畿地方中部の花崗岩山地の開発に関連した自然地理学的な評価をここに示したいと思う。

I. GrassGIS出野作業: データベース作成メモ Feb. 16, 2019

I.1 DEM作成とその取り込みそしてパッチ

経緯度座標系からCS6へ変換。
Windows XPと10では, \grassdataは,\\Mac\Homeに続く。
gdalwarp -s_srs "EPSG:4612" -t_srs "EPSG:2448" -tr 5 5 -r bilinear -dstnodata -9999 "\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516DEM\FG-GML-5235-16-DEM5A.tif" "\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516DEM\FG-GML-5235-16-DEM5A_CS6.tif"

gdalwarp -s_srs "EPSG:4612" -t_srs "EPSG:2448" -tr 5 5 -r bilinear -dstnodata -9999 "\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516DEM\FG-GML-5235-16-DEM5B.tif" "\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516DEM\FG-GML-5235-16-DEM5B_CS6.tif"

r.in.gdal input=\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516DEM\FG-GML-5235-16-DEM5A_CS6.tif output=Kizu_5a_DEM

r.in.gdal input=\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516DEM\FG-GML-5235-16-DEM5B_CS6.tif output=Kizu_5b_DEM

g.region raster=$MAPS
r.patch in=Kizu_5a_DEM,Kizu_5b_DEM out=Kizu5mDEMpatched

I.2 ベクトルファイルの取り込み

https://fgd.gsi.go.jp/download/documents.html
の最下部に近く,次のアプリのダウンロードリンクがある。
基盤地図情報ビューア ZIP形式:6.85MB 2018/07/26 更新 Windows用
これはver.4と思われるのでぼくは更新の必要がない。

523516田辺1/25000図幅の範囲に該当。

基盤地図情報ビューアのエクスポート/エクスポート,を実行。
直角座標系に変換6系,にチェックが入っている。

全データ領域は,次のよう。
行政区画行政区画線 AdmArea
行政区画代表点 AdmBdry
建築物 BldA
建築物の外周線 BldL
道路縁 RdEdg
道路構成線 RdCompt
軌道の中心線 RailCL

出力後,Mac_Wind_sharedフォルダーからgrassdata/FileConvert_folder/Kizu/523516vector/Kizu_shapeに入れる。
さしあたり,次のものを使うことにする。

1. ファイル名が漢字なのでローマ字に変換する。
行政区画行政区画線AdmBdry
KizuAdmBdry
建築物の外周線 BldL
KizuBldL
道路縁 RdEdg
KizuRdEdg
軌道の中心線 RailCL
KizuRailCL

2. DBF Viewer 2000を使って,列タイトルを英数字に。
File/Modify Structureで実行する。

整備データ Equip_Dat1
整備デーA Equip_Dat2
整備完了日 Full_Equip
表示区分 ExpresClas
更新フラグ Renewal
種別 Kinds
名称 Name
行政コード Admin_code

管理主体はManager,名称はName,種別はKinds,表示区分はExpresClas,存在 期間はDuraStart,存在終了日はDuraEnd,整備完了日はEquipFin,更新フラグは RenewFlag,行政コードはAdminCode

これまで長く使っていたJGD2000のCS6のロケーションでベクトルを取り込むと次のようなメッセージ。

(Sat Feb 16 16:02:09 2019)
v.import input=\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516vector\Kizu_shape\KizuAdmBdry.shp layer=KizuAdmBdry output=KizuAdmBdry
WARNING: All available OGR layers will be imported into vector map <KizuAdmBdry>
WARNING: データム <JGD_2011> はGRASSに認識されていません そしてパラメータが見つかりません
WARNING: データム <JGD_2011> はGRASSに認識されていません そしてパラメータが見つかりません
Check if OGR layer <KizuAdmBdry> contains polygons...
Importing 594 features (OGR layer <KizuAdmBdry>)...
-----------------------------------------------------
ベクトルマップ <KizuAdmBdry@Kizu> にトポロジーを作成しています...
プリミティブを登録しています...
594 primitives registered
8603 vertices registered
領域を作成しています...
0 areas built
0 isles built
島を接続しています...
セントロイドを接続しています...
ノードの数: 606
プリミティブの数: 594
ポイントの数: 0
ラインの数: 594
境界の数: 0
セントロイドの数: 0
領域の数: 0
アイルの数: 0
Input <\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516vector\Kizu_shape\KizuAdmBdry.shp> successfully imported without reprojection
(Sat Feb 16 16:02:10 2019) コマンド終了 (1 sec)

JGD2000とJGD2011が実質変わらないのでうまく取り込めた。

空間情報クラブ:日本測地系(JGD2011)とは?
http://club.informatix.co.jp/?p=998
に,詳細が書かれている。西日本や北海道では,実質,変わっていない。
ただ,混乱を避けるために,今後は,新たなepsgコードを使って,JGD2011のデータベースを使うべきではある。

新たな経緯度座標系は,epsg:6668
https://epsg.io/6668
である。

Coordinate reference systems for "JGD2011"
https://epsg.io/?q=JGD2011

Coordinate reference systems for "JGD2011 CS"
https://epsg.io/?q=JGD2011+CS

ちなみに,現在作成中の,沖永良部島は,
EPSG:6669
JGD2011 / Japan Plane Rectangular CS I
https://epsg.io/6669

近畿地方の多くをカバーするCSVIは,
EPSG:6674
JGD2011 / Japan Plane Rectangular CS VI
https://epsg.io/6674

Remarks: Replaces JGD2000 / Japan Plane Rectangular CS VI (CRS code 2448) with effect from 21st October 2011.
Area of use: Japan - onshore - Honshu between approximately 135°10'E and 136°45'E - Kyoto-fu; Osaka-fu; Fukui-ken; Shiga-ken; Mie-ken; Nara-ken; Wakayama-ken.
Coordinate system: Cartesian 2D CS. Axes: northing, easting (X,Y). Orientations: north, east. UoM: m.

Override projection check (use current location's projection)
にチェックを入れると,

(Sat Feb 16 18:31:56 2019)
v.import input=\\Mac\Home\grassdata\FileConvert_folder\Kizu\523516vector\Kizu_shape\KizuBldL.shp layer=KizuBldL output=KizuBldL -o
WARNING: データム <JGD_2011> はGRASSに認識されていません そしてパラメータが見つかりません
最優先の投影チェック
Check if OGR layer <KizuBldL> contains polygons...
Importing 53775 features (OGR layer <KizuBldL>)...
-----------------------------------------------------

I.3 等高線作成とカラー調整

等高線間隔2m, 5m, 10mを作成したが,10mしか表示の観点から使えない。
ラスター/カラー調整,などで検討したが,色が暗すぎると,空中写真判読の基図にはなりにくい。

I.4 流域分析を実施

太陽光発電用地に関わる降水と崩壊などの関係を捉えるには,これは必須だろう。
基図としてもaspectの上に等高線を書くと,空中写真判読結果を表示しやすいだろう。

http://motochan.sakura.ne.jp/public_html/GISContents/22.htm
を使用。

guiで,Raster/Terrain analysis/Slope and Aspect/のパネルで,Settingタブでdegrees,Outpusタブでoutputファイルは,それぞれ,slope, aspectを実行する。slopeやaspectの作成目的などが明確になったらソースのdemや目的などもファイル名に書いた方がいい。

defaultで作成した。

aspect上に10mコンターを表示したものは,やっぱり,いいなあ。

上記木庭のweb pageの引用しつつ, この作業に対応して一部変更している ————————————————
3.流域区分と河川網の検出
3.1 the r.watershed (Raster -> Hydrologic modeling -> Watershed analysis) moduleを実行。
3.1.1 optionsタブで,次のものにチェック。
 default MFD(Multiple flow direction)では限定しない。
 Convergence factorのdefault値は5。
 Maximum memoryはpcによるがここでは1000MBとする。Allow overwriteとする。

3.1.2 inputsタブで,
 Kizu5mDEMpatched
 input value: minimum size of exterior watershed basin (threshold: integer, optional)では1000(m2単位?)とする。これは,the minimum area of a sub basin で,これによって,流域区分の面積オーダーを決めることができる。
次のオプションは使わない。
 input value: maximum length of surface flow, for USLE(Universal Soil Loss Equation)この使い方は不明だがこれを限定するのは特殊な目的のためだろう。

3.1.3 outputタブで,
Name for output accumulation raster map: Kizu5mDEM_accumulation
Output map :number of cells that drain thru each cellでは,
 Output map: unique label for each watershed basinでは,Kizu5mDEM_basins

3.2 実行
ほぼ5秒間。
r.watershed elevation=Kizu5mDEMpatched@Kizu threshold=1000 accumulation=Kizu5mDEM_accumulation drainage=Kizu5mDEM_drainage basin=Kizu5mDEM_basin memory=1000

3.4 basin流域のカラー変更
  the r.colors module (Raster -> Manage map colors -> Set colors to predefined color tables
 rainbowカラーにして,再表示(全域)する。大きな流域区分が可能になったように見える。

3.5 Basemapをaspect,drapemapをbasinに
 Basemapをaspect,drapemapをbasinに。全域表示。
これがどうしてもできない。tkl/tkだとできたのだが。

3.6.1 対数化

 ここで,logの真数は正でなければならず,abs(accumulation10m)はゼロの場合があるので1を追加している。対数値とすることで水文学的に意味のあるパラメータが得られる。
 gis.mではRaster/Raster map calculator/を利用する。
 r.mapcalc "log_accumulation10m=log(abs(accumulation10m)+1)"
実行consoleには次のように表示された。
r.mapcalc expression=Kizu5mDEMaccumulation_log = log(abs(Kizu5mDEM_accumulation@Kizu+1))

3.6.2 閾値で河道の抽出
 いい閾値はデータによって変わる。tutorの例では6である。queryでチェックが可能ではあるが連続的に見ることができない。目的は谷筋とそれ以外の場所(セル)の数値の違いを明らかにして境界値を決めることである,これには,MapDisplayで複数のプロファイルを取るのがいいだろう。6で良かった。
if(Kizu5mDEMaccumulation_log@Kizu>6)
の計算式を入れた。
新たなファイル名は,Kizu5mDEMthr6_riversとした。
結果,
r.mapcalc expression=Kizu5mDEMthr6_rivers = if(Kizu5mDEMaccumulation_log@Kizu>6)

3.7. 河川ネットワークのベクトル化
3.7.1 ベクトル化を実施する前に,線状構造を1ピクセル幅にしなければならない。
 r.thin(Raster/Transform features/Thin linear features)を実施する。
ラスター/フィーチャーの変形/縮小r.thin

r.thin input=Kizu5mDEMthr6_rivers@Kizu output=Kizu5mDEMthin_rivers@Kizuとする。

パス回数84で何故か止まっている。
r.thin input=Kizu5mDEMthr6_rivers@Kizu output=Kizu5mDEMthin_rivers@Kizu
Raster map <Kizu5mDEMthr6_rivers@Kizu> - 1853 rows X 2291 columns
境界線: l = 2, r = 2292, t = 2, b = 1854
最大実行回数を200から600に変更したが,パス回数84で止まってしまった。リージョン設定もやり直したのであるが。

r.thin input=Kizu5mDEMthr6_rivers@Kizu output=Kizu5mDEMthin_rivers@Kizu
でコマンドモードで実行したら,defaultの200回まで行って,新たなファイルもできたけど,thr6と同じに見える。
回数を大きくして,overwriteする。
r.thin input=name output=name [iterations=integer] [--overwrite] [--help] [--verbose] [--quiet] [--ui]
だから,
r.thin input=Kizu5mDEMthr6_rivers@Kizu output=Kizu5mDEMthin_rivers@Kizu iterations=800 --overwrite
580回目で,Deleted 0 pixelsとなって,
Output map 1853 rows X 2291 columns
Window 1853 rows X 2291 columnsとなった。できたの?

訳わからん。設計図みたいな直交する線分が出てきただけ。だめだ。これはpending。次には,regionを小さくすると成功するかも。

地形分類用画像を作成 N,S, E,Wの座標値をメモ。

I.5  Illustrator CC + plugx-shape 4.5で

  GrassGISで表示された画面のスクリーンショットを撮って,それをIllstrator CCに配置し,太陽光発電用地を詳細?図面から写し取り,これが立地する地形単位とその周辺の領家花崗岩cooling jointsをトレースして,plugx-shapeを使ってシェープ出力して,GrassのCS6ロケーションに取り込んだ。
  四隅のCS6 X northing, Y easting 座標値は次のようである。

左上 -134906.04&-16379.11
左下 -137041.40&-16379.11
右上 -134906.04&-12544.92
右下 -137041.40&-12544.92

  なお,これを実行する際, 「データフレームか座標マーカーが正しくありません」というエラーメッセージに悩まされたが,上記座標値のうち一つで,小数点が脱落していた。なおエクセルでのセル入力で数値を文字として扱うために,「’」を頭に付けている。

II. 花崗岩山地の地形と開発予定域のGIS上での確認 revised at Feb. 24, 2019

II.1 太陽光発電用地と花崗岩冷却節理の分布図

  下の図はこのページに合うように小さく表示しているがダウンロードすると高い解像度の画像を得ることができる。オレンジ色の区域が太陽光発電用地である。黄色の弧状線(前回より見易くしました。図3では赤い弧状線のまま)は空中写真実体視によって得られた花崗岩節理である。この太陽光発電用地に直接関係する地形単位とこれに関連すると思われる範囲の節理を表示している。

図1 太陽光発電用地と花崗岩冷却節理の分布図

 下の図2は,上記図1の範囲より少し広い部分の都市計画図切り取りである。

図2 図1よりも少し広い地域の地図 (木津市都市計画図からの切り取り)

II.2 Feb. 20, 2019の質問に対する回答

1. 太陽光発電設備の面積はほぼ47.6haでしょうか 環境アセスの50haを越えているようなことはなさそうですか。
2. 設置場所に降雨が流入してくる区域は確定できますか(ご面倒なことでしたら国会図書館で調べますから)
3. (図3で)降雨がAやBの地域の川に流れますか。
4. (図3で)Cの部分へはどうでしょうか。

  図3 質問に添付された図(元の図1が基図に使われています)

以下,回答を示す。
1. 太陽光発電設備の面積はほぼ47.6haでしょうか 環境アセスの50haを越えているようなことはなさそうですか。
回答: ぼくの計算では,49.422245167926haでした。
もともとの地図の予定地の線引きに作業上の揺れがあり,ぼくはこれをトレースしていますので,さらに誤差を産んでいると思います。とは言っても,ぼくの計算でも50haをぎりぎり切っています。そういう意図で計画されたものでしょう。ぼくの使っている国土地理院の高度データベースの位置精度は,この開発で使用される地形測量よりは高い精度です。水平位置の現地での誤差は実質10cm程度だろうと思います。

 ご参考: ベクトル/レポートと統計/カテゴリー別トポロジーのレポート作成 Reports geometry statistics for vector maps (v.report)
必須パネルでは,もちろんレイヤーで選んでいた Name of vector map: PhotovoltaicStation@Kizuがでている。この下方に
計算値:という枠があり,areaを選ぶ。
オプションパネルで,詳細モジュールにチェックを入れて,
units: hectares
結果は, cat|area 1|49.422245167926
と出る。
2. 設置場所に降雨が流入してくる区域は確定できますか(ご面倒なことでしたら国会図書館で調べますから)
回答: 下の図の赤い点線が水系図になります。これを見る場合,オレンジで囲った太陽光発電用地から出る水系下流側にたどって行くと,表流水の影響される範囲が分かります。

以前掲載したものは水系図に節理分布図がかぶっていました。申しわけありません。下の赤い点線が水系図になります。

  図4 thru6 rivers 水系図
3. (図3で)降雨がAやBの地域の川に流れますか。
回答: Aは下流域になりますが,Bは下流域にはなりません。
4. (図3で)Cの部分へはどうでしょうか。
回答: C
下流域になりません。図1に黄色の太線で示した花崗岩中の節理を通じて,地下水は影響を受けると思います。いわば,裸地を上流域に持つことになり,崩壊の危険性が増す可能性があります。図3の「加茂」という地名を書かれた場所には活断層が走っています。ここから滑落する可能性もあります。土木的観点では理解できないとは思いますが。

以 上