2003.10.30

自然地理学をめざす若人へ

 ぼくは学生時代にサンゴ礁と出会って,琉球列島のサンゴ礁地形の研究で博士号を得ました。その後,マスコミなどによる環境問題のごまかしが嫌になって,日本から離れて海外で研究するようになりました。世界の環境問題のうち海岸に特にぼくは興味を持っています。いままでの活動の経験から,自然地理学がその原因究明や解決法の提示をする上で,かなり有効だと実感しました。そしてそれなりの成果を提出することができました。しかしながら社会変革と繋がりにくい状況に多少失望もしています。
 ぼくは学生時代から,地球の時を刻むことに最も興味があり,年代測定法に大きな興味を持っています。人間が発生する基盤を作った第四紀という時代に大いに興味を持っています。その時代を刻む年代測定法で重要なESR法や放射性炭素年代測定法を実際にぼくは実施しています。全国の地理学教室でこの測定器を持つのは5大学だと思いますが関西大学はその一つです。
 今,関西周辺の地形にも興味を持つようになりました。未だ世界で認識されなかった大きな崩壊地形が関西にも琉球列島にも分布していることを発見し,日本列島や琉球列島の形成過程をこの考えでまとめようと考えています。
 関西大学地理学教室は文系ですが,自然地理学を理学的観点で本格的に研究したいという学生が増えてきました。ぼくは当然ながらこの状況を大変嬉しく思っています。今年のゼミ生は,植生と人間活動,水害ハザードマップの作成などの研究も実施しています。
 自然地理学を積極的に学ぼうとする学生がいることは大変嬉しいことです。是非,関西大学に来てください。