2007年5月6日 作成 2008年1月5日 追加
このソフトがいいかどうか,わからない。期限付きの廉価で作業画面がすっきりしていたことが大きい。メールが執拗に来たことも。
http://www.turbocad.com/Products/MacProducts/TurboCADMacv2/tabid/156/Default.aspx
Cadintoshもメーカーとしてはいいが,デザインが気に入らなかった。
http://www.vector.co.jp/soft/mac/business/se276775.html
この種の作業はSurfer(Windows用)が適しているが価格が学生が購入するのは多少難しいと考える。JW-CADがこの種の作業にTurboCADより優れているかもしれないが筆者は試していない
さて,TurboCADへのエクセルテキストファイルの座標の取り込み法であるが,試行錯誤の末にわかったことを次に示す。File/Import/Splineを使う。File/Import/Textでは,数値そのものが取り込まれるだけである。/Splineでエクセルの数値データを取り込むには,エクセルデータが列データで第1列にx,第2列にyの値を,そして,tab区切りのテキストで出力する必要がある。数値が大きくても,それに対応した表示をTurboCADの方でする。アメリカ製のソフトだから生じる信じられない数値の変換が生じる。File/Preference/で,Unitsをmmにしていた。そうすると,元の数値よりかなり大きな数値になっている。まさかと思いつつ,inchesにしたら,元の数値に全く一致した。たとえば,元のテキストでの数値が,0.301だとすると,その通りになった。mmにすると,7.6454となった。まさにinchとmmの換算に対応している。1 inch =25.4 mmだから, 0.301*25.4 = 7.6454になる。というわけで,TurboCADは,Unitをinchに固定する必要がある。
Splineの実行によって,エクセルデータに無かった点がスプラインの中に追加される。それゆえ,追加された点を見極めておく必要がある。もともとの点は,マウスを近づけるとvertex頂点と表示される。しかしこれでは不便なので,Edit/Show Pointsにチェックを入れる。そうするとimportした各座標点が表示される。
splineというのは名称どおり,座標点にそってスプラインを描く。座標点はメーン情報と考えられていず,イラストレータにExportすると,このスプラインの線だけが表示される。そのため,座標点が欲しい場合,TurboCADを開いたままで対象スプライン結果をIllustratorにCopy&Pasteする。
ただし,XY軸を一緒にコピーできないので,線ツールで始点を原点(origin)にとって,まずは終点を必要な箇所までshiftキーを押しながら適当に指定して情報の部分で長さを切りのよいものにする。このように両軸を描いてから,スプライン結果と併せて,Illustratorに
Copy&Pasteする。そして,Illustator上で,部分選択をして,スプラインの線と追加された点を削除する必要がある。両軸の目盛線scale markはIllustratorの機能を使って,適宜作成すること。
TurboCadとIllustratorとの関係を確認する。Illustratorで書いた図の取り込みの方法を示す。
1. IllustratorまたはCSで書いた図は,Illustratorでは保存の際に別名で保存にし,Adobe Illustrator 書類形式(default)にし,次のパネルが出た時に,Illustrator 8を選ぶこと。CS (1)については,ファイル/データ書き出し/Illustrator Legacy (ai)にして,書き出し,バージョンでIllustrator 8を選ぶ。CS3にはもうこういう機能は装備されていないので,Leopardでは,CSは必需品である。 Adobe社がなぜ,CS3で下位互換性を放棄したのか,全く理解できない。
2. 次にTurboCadを立ち上げて,File/Importを選ぶ。Import typeは,Adobe Illustratorを選ぶが,Import Optionsは,Group curve segs, Polygon from fill, Join curves segmentsのいずれもチェックを外しておく。そしてOKして,取り込むファイルを選ぶ。その結果,図が取り込まれる。
3. 黒い矢印キーで多角形を選ぶと,線の色が赤く変わる。Verify/areaを選ぶと,面積が表示される。
なお,TurboCadの図は,File/ExportでIllustratorの形式で保存すれば, Illustratorの書式のファイルを作成することができる。
Illustratorで書いた図を取り込む前に,CS (1)で画像に基づいて,ポリゴンを作成するが,鉛筆ツールよりもペンツールの方が確実である。鉛筆ツールはパスが切れていても気づかないことが多い。その点,ペンツールは確実に閉塞したポリゴンと作成することができる。TurboCadはポリゴンの切れ目をIllustratorと比べると極めて厳しく評価する。
ポリゴンを選ぶ際に,ツールのSelect Deepの矢印を使う。これは矩形で選ぶので,隣接の多角形の一部にひっかかることが多い。そのため,イラストレータで作成したあと,ポリゴンをまとめて一枚のレイヤーに集めて,個々のポリゴンを余裕を持って配置した方がいい。
このように注意を払っても,ポリゴンがクローズしていないかも知れない。その際は,TurboCadのsingle tool などでクローズする必要がある。全部のポリゴンを一気に計算するには,Verify/propertiesを実行すれば良い。下の図1は,CSでのポリゴン作成の作業結果で,図2は,TurboCadがimportする前に,ポリゴンを整理したものである。
図1 砂防ダムの流域を示したもの。ポリゴンの周辺に示した数値は,TurboCadで求めた面積。
図2 TurboCad用にポリゴンを整理したCS(1)の図。
砂防ダムによる堆砂容量がどのように計算されているのかを確認するために,作業を実施した(田橋との共同研究)。その結果を示す。なお,当地理学教室の水田氏との議論はこの作業に大変有効であった。
奄美大島戸円川支流大松川砂防ダムについてである。掲載されている数値はほぼ8000立米であったが,次に示す計算ではほぼ4000立米とほぼ半分になった。まずは計算過程を示して,この違いがどこから来たのか推定したい。
計算は,掲載されている地図の等高線情報が正しいことを前提にしている。地図の縮尺はほぼ1/500で,等高線間隔は1mである。当初,これをそのまま信じて作図したが,左岸と右岸で計曲線の値がケアレスミスで5mずれて表現されていることが判明した。その上で,およそ10000分の1のカラー空中写真を実体視判読したが,等高線の傾向と地形の傾向は一致していた。
等高線を使って堆砂容量を求める場合,二つの方法がある。一つは,堰堤に平行して,等間隔で谷の横断面図を作成し,それぞれの断面の面積を合計して,その値と断面間隔の積を実施する方法,もう一つは,想定される堆砂領域の各等高線をトレースしてそれぞれの閉曲線の面積を求めて合計し,等高線間隔との積を求める方法である。いずれがより適切な方法かは,場合によるだろう。今回は前者の方法を採用した。なお,使用した地図をここでは示していない。今書いているのは自宅で,地図は大学の実験室に忘れてきた。
1. まずは,堰堤に平行して1cmつまりほぼ5m間隔で断面線を描いた。
2. そして,堰堤に直交する方向の軸を堰堤の左端(上流側を上にして)にとり,断面線と等高線が交わる点の距離(mm)と高度(m)を読み取ってエクセルで表を作成した。
3. 数値データから得られる面積と実際の面積との対応関係を見るため,この場合は,より高度の低いところに大きな三角形(一辺は水平)を想定した。
4. 以上のデータをExcelに入力したが,TurboCadにプロットするために,一つ一つの断面を一つのスプレッドシートに記述した。第1列はx値,第2列はy値である。タイトルはつけない。そして,それぞれに断面について,tab区切りのtextファイル を作成する。
5. TuboCadを立ち上げ,Window/TurboCAD Explorerを表示し,個々の断面について,新規のレイアを作成する。アクティブにして,tab区切りtextファイルをimportする。そして各スプラインカーブは下に凸で上はオープンになっている。そこで直線ツールでスプラインカーブな両端のendpointを繋ぐ。そのようにして得られた図が次のものである。
なお,この図の下部の三角形は,この図の面積と実際の面積との対応関係を知るためである。tab区切りtextから3点をsplineで取り込むと,スムーズなカーブを描いてしまう。マウスをこのカーブに近づけると,endpointとvertexがわかるので,この3点を直線ツールで繋ぐことになる。
以上の各閉塞域の面積を,Verify/areaで求めて,mm単位のデータを記録する。
5. それぞれの断面の面積から,実面積を求めて,断面の間隔の積を求めると,堆砂容量が求まる。計算を実施した表を次に示す。
堆砂容量は,3915m3となる。
さて,前述のように,図面に記されている堆砂容量は8000m3余りである。
水田がいくつか試行錯誤をして,堰長と深さと堆砂想定域の流路沿い長から,粗っぽくいわば誤った方法で計算した結果の一つが8000m3にほぼ一致した。この類推が正しく,等高線が正しいとすると,次のことが言えそうである。
今回の奄美大島大和村の砂防ダムの堆砂容量は,実際の堆砂容量に比べて,かなり多目に見積もってあると考えた方がいい。それでは,図面に記載されている砂防容量が全く使えないかというとそうではないと考える。
そもそも,比較的細粒部分はダムから抜け出している。それゆえ,砂防ダムが満杯になっている場合,まあ,図面記載程度の土砂が供給されてきたと考えて良いだろう。あくまでも傾向としては,使えるだろう。
以 上