Yoron yoro yoro Bulletin

2006年10月9日 記述

 10/3-6の4日,調査を実施。6日は学生が積極的に提案した。あいにく台風16号の影響で,百合の浜は離水せず,当初の研究テーマを変更せざるを得ず,大金久海岸のビーチに限定した調査となった。
 11月20日頃が第1回の原稿提出日だから,かなり時間がない。実施できることは限られているが,次のように考えている。
研究目的(仮題):ビーチを構成するサンゴ礁起源堆積物の鮮度劣化の提示と,劣化前の堆積物のビーチ沿いの粒径分布の復元
1. 2000年撮影のカラー空中写真から百合の浜を伴う大金久海岸のビーチ,砂州,サンゴ礁の分布図を作成する。
2. 与論島付近の海図を使って,与論島周辺海域のサンゴ礁を主とする分布図を作成する。
3. 測量に関わる潮汐データの整理
 与論島茶花港の標準港那覇に対する改正数:潮時差 -0h15m,潮高比0.94。
4. 唯一のビーチ断面図の作成:
 位置をGPSデータと確認する。
5. ビーチ沿いの堆積物採取過程関連の整理
 採取点をうまく1.の分類図に落とす。
6. 粒度分析と構成物の分類
 断面と前浜・後浜境界付近採取試料の整理
 そして,実験と分類作業。境界試料をまずは100m間隔で粒度分析する。
7.時間的にきびしいだろうが,一応,年代測定とδ値の測定。
 この手法はより深いテーマに近づくことができるが,時間的に厳しいかもしれない。

2006年9月24日 記述 一部修正追加 26日

 極めて限られた時間の中で,どういったフィールドワークをするのか。そして,分担はどうするのかを,前回のゼミで話し合った。そのことをふまえて次のようにまとめる。
荷物運びの分担:
全員:フィールドノート,マイラー,軍手,デジカメ(持っている場合),コンパス,自分の携帯電話(連絡用DOCOMO FOMAの場合,与論島全域)。シュノーケル,マスク,水着。
衣類について:できれば長袖のシャツ,乾きやすいズボン,水の中に入っても問題ない薄い運動靴(田頭さんはウェットブーツを持っているのでは? 持っておればその方がいいです。ぼくはウェットブーツを使います)。水着を服の下に着ることもできるが,水着を使う時と調査をするときは別に考えた方がいいでしょう。シャワー室がありますので,着替えは可能です。
前野君:1. レーザー測距儀と充電器(二つの電池とも充電しておいてください),2. フィールドでの簡易測量の道具として,実習室に置いているA4サイズの板,前野君の小さな分度器,三角定規。A4マイラー。
白澤さん:1.スコップ2本(白澤購入,木庭のもの),2. 1mポール4本。
匡さん:ハンマー2本。
田橋さん:1. レーザー用三脚。
安宅さん:空中写真,役場から借りている本2冊,コピー一式。
田頭さん:1. プリズム三脚など,2. 50m巻き尺2本, 3. 試料を入れるポリ袋。
木庭:1. デジカメとそのハウジング,2. GPS, 3. ハンマーなど。

調査内容と日程:
 百合の浜の砂堆を構成する砂を採取する。採取範囲は主に干潮時に干出している砂州部分とする。流れの方向を捉えるためにほぼ正方形に近い矩形にグリッドを想定する。その方法については授業中に議論した。
 2006.10.3 午後3時半から,与論島観光ホテルのマイクロバスで,百合の浜にゆく。茶花港は,那覇港と比べて-15分の潮時差がある。那覇港の満潮は,17:00 187cmである。つまり,茶花港の満潮は16:45である。百合の浜の満潮時はこの付近であろうが,不確かなので,那覇港と百合の浜の潮時差を求める必要がある。満潮には潮は前のリーフのギャップを超えてやってくるので,百合の浜のビーチで満潮時間を捉えることができる。翌日の測量のための,満潮のswash markよりも陸よりに基準点を2カ所設定する。

 レーザーの測定距離は現有のプリズムでは500mなので,レーザー測距儀は,調査グリッドのそばに設置する。陸の基準点を後視する形にする。10.4の矩形と10.5日の矩形は重ならないように配慮する。これはビーチからの補足とGPSで行う。

 2006.10.4の作業可能な低潮時間は,午前8時半〜午後1時までだろう。位置決めをして,グリッドを作って,各サイトでスコップを使って深さ30cmの穴を掘り,砂を採取する。一応,400m×400mの矩形で,50m間隔で試料を採取する。64点になる。進行具合によって変更あり。当日に必ず,測量結果をまとめ図化すること。試料のマーキングなどを確認すること。
 2006.10.5の作業可能時間は40分遅れだが,10cmほど低潮位が下がるので,作業時間は増える可能性がある。矩形領域は昨日の経験で決定すること。
 年代試料の採取も試みる。サンゴや有孔虫の砂礫の年代を求めることも,砂の更新を考える上で重要
 ほかに観察すべきものとして,海岸植生,砂堆の海側のサンゴ礁の成長具合。

帰阪後の作業手順は別途示す。

2006年6月25日 記述

 6/27は進学説明会に出ますので,実習に参加できません。自分たちでしてください。各自が読み込んでいる文献(秋山吉則氏や木庭の文献など)を紹介し,その文献について,大部でなければ,各自コピー(実習予算)して持ってください。その際,ぼくの分もコピーしておいてください。
 それから,カラー空中写真のうち,与論島の東部海岸を各自の分について写真モードでコピー(ぼくの分もお願い)して,実体鏡で判読し,直接,コピーに色鉛筆で描いてください。木庭が後に見せてもらいます。判読する内容を次に示します。
判読内容: 海岸線,ビーチの海側端,礁原上の線状構造striation,礁原上の砂州の範囲,礁嶺リーフクレストの海側と陸側の境界
とくに線状構造について: 百合の浜の沖合の礁原が切れています。干潮時にはこの切れ目に向かって,ビーチもしくは礁原上の砂が移動します。干潮時にはこの切れ目より北側,南側の礁池backreef moatから海水が移動します。この際,礁池底の砂も運搬します。この運搬方向,運搬範囲を判読してください。
  なお,これまで述べてきた砂というのは,不正確な表現です。サンゴ礁では,砂(砕屑物clasticsの一つ)はほとんどありません。生物遺骸とその破片からなります。これは生砕屑物bioclasticsといいます。この主要なものは,大型有孔虫larger foraminifers,サンゴ片など。
 現地で採取したのち,実験室で, 篩別法(篩を使う)と鏡下観察(星砂Baculogypsina sphaerulata 残棘率)を併用し,生砕屑物の運搬過程を復元します。その形成時代を復元するために,放射性炭素年代測定も実施します。

 現地での調査方法を次に提案します。
調査の種類としては,
1. ビーチの断面測量と試料採取 20本ほど by レーザー測距儀1セットと巻き尺2本 ,担当者3名
2. 礁原の断面測量と試料採取(ビーチから礁嶺まで)1本 by レーザー測距儀1セット 担当者3名
3. 礁原上の流れの調査(干潮時に水流を見る)位置決めはGPS(木庭のもの1個と,別所氏のもの1個)
4.礁池底の砂移動と砂地形の観察

 何故に百合が浜ができたのか,その回答は,岩盤崩壊,礁嶺部分の断裂破壊にあろう。大金久海岸の弧状地形と対応している。
以 上

2006年6月15日 記述

本日,ゼミをして,今後夏休み前に半日3回程度の準備を考えるようになりました。←日程を話し合いましょう。
空中写真判読,サンゴ礁入門,ビーチ性堆積物の分析,年代測定。
実習時には,関係資料とツールを分担して運ぶ必要があります。
運ぶもののリストに次ぎを加えます: デジカメと水中撮影用のハウジング(木庭所有),カラー空中写真(高橋所有)

2006年6月11日 記述

2件,質問がありました。質問を示し,そのあとで,回答しております。

田橋智美:今度の火曜のレジュメを作っているのですが、調査テーマってどういう風に書けばい
いのでしょうか。内容・方法などは、海の条件のいい場合、悪い場合を先生のHPを参考に書きました。また、事前に集めるべきデータというのは、何かありますか??

From: saori-de-kingyo@docomo.ne.jp:レジュメに参考文献をのせないといけないんですが、「流急送軍と海岸段丘」の論文は、出典とかをレジュメにどう書いたらいいですか??

回答:
1. 「流急送軍と海岸段丘」の論文の書誌:
木庭元晴, 1980. 琉球層群と海岸段丘. 第四紀研究,Vol. 18, pp. 189-208.

2. 調査テーマとそれに対応しうる事前に集めるべきデータなど
いずれにしろ,実質2日しか調査できないので,調査場所は1カ所になるし,求められる結果も極めて一時的temporaryかつ儚いfleetingものになる。


 調査テーマ1:海岸浸食とその原因
  世界の海岸侵食のほとんどの原因は企業活動や行政による行き過ぎた開発によるものである。与論島での海岸侵食の情報を全く得ていないが,高橋・野間と出かける7月はじめの予備調査で確認したいと思う。
 調査地: 海岸侵食を被る地域の実態調査。
 調査項目: 
a. これは何らかの企業?活動の始まり以来の経緯を知る必要がある。たとえば,リゾートホテル,港湾建設などである。
b. さらにできれば,この変化を知る地球科学的記録が必要(国土地理院や県・町の空中写真など)
c. 干潮時の礁原とビーチと砂丘などの観察と記載地形測量と堆積物採取。
 調査前に実施すること:公開されているカラー空中写真(調査地域が限定された段階で入手可能な航空写真を購入する)の判読に基づく礁原やビーチ評価をするための分布図の作成。お勉強会も。潮汐データの取得と整理。
 調査に持参するもの: 判読結果を示した地図(各自),レーザー測距儀関連(教室設置:本体,三脚,プリズム,50mメジャー2本,充電器,充電池),試料を入れるポリ袋(台所用のもの各自1セット(コンビニにでもある)と,実験室に置いている丈夫なもの30枚ほど),オリエンテーリングコンパス(各自),ハンマー2本(石灰岩やサンゴの採取用),砂用の鎌(木庭のみ),調査の際の連絡は携帯電話(各自),現成サンゴの分類のための簡単な本(木庭持参,ただ各自の自由)。GPSとパソコン(木庭)。デジカメ(持っている人は持参してください)。フィールドノート(水域で使うために,大判のマイラーを小さく切って用意する必要があります。作成してください。マイラーへの記録は鉛筆と消しゴムでできます。陸上での記録は教室のフィールドノートでも問題ありません)。水着,長袖の薄い上着,水につかってもいいズボン(パンツっていうのか?),軍手(各自),シュノーケルと鼻も包むマスク(各自)。
 期待される結果: 海岸侵食の実態と,その原因の究明。さらには,その解決法の提示。本来は通年で調査しないとわからない。  

 調査テーマ2:海岸環境調査 リゾートホテル(どんなのか今のところわからない)の前のビーチの海岸環境を調べる。海岸のゴミも含めて。
 調査テーマ1だけでなく,海岸利用の観点を含める。つまり,海岸施設 (トイレ,シャワー,駐車場,飲食店,自動販売機など)の分布,その対象利用客(地元,ホテル以外の観光客など),衛生管理,行政・企業の投資・管理費委・利益などの配分など。さらにゴミについては分別収集のような発想で記録する。まさか収集まで?
 ほかは,調査テーマ1と同じ。文献としては,木庭が手持ちの,島田(関大工学部海岸工学)と西平(京大生物)のものを紹介する。

 調査テーマ3:海岸段丘調査 海が荒れていて調査ができない場合のalternativesである。午前中の潮の状態がいいので,かなり考えにくいことではある。雷雨なら,落雷の危険性があるので,外での調査はできなくなる。太陽が照らないと実は,陸上での化石評価も難しいことがある。
 調査地: 最も低い段丘や離水サンゴ礁が分布する海岸および採石場
 調査前にすること: 調査テーマ1の内容と重なる部分と追加部分がある。礁原とビーチと砂丘と最も下位の段丘の分布図は調査テーマ1であっても2であっても,作成する必要がある。ただ,このテーマの場合,採石場の位置を空中写真と地図で押さえる必要がある。
 調査項目: 地層観察・記載と未変質サンゴ化石の採取。
 持参するべきもの:タガネ(ハンマーでたたくための杭のようなもの)が必要(木庭所有)。
 期待される結果; 発見された場合は,従来の知見を大きく超えうる。テーマ1やテーマ2はローカルで自己満足的なものに対して,この結果はグローバルな展開になる。

以 上

2006年6月3日 記述

 与論島調査に関する連絡をここにします。6/6火曜日の実習時間に研究テーマの発表とその資料収集機会があります。すでに6/1の演習で話し合いました。ぼくが考える テーマと準備を次に示します。


1. テーマ
 遠くの台風の影響による「うねり」が強い場合や,天候がかなり悪い場合は,海の調査ができない。その意味で,テーマを二つに分けて考える。
 海の条件がいい場合:
 とにかく,与論島では,スキューバーダイビングで,一日は楽しみたいと思う。
 海岸植生や海中の生物などについてはレクチャーします。

 調査期間の潮汐状況はもっとも重要であるが幸い,午前中は条件がいい,つまり大潮に近い干潮である。そこで主要な調査時間は午前中になる。午後は疲れなどの状況によって臨機応変に考えましょう。
 さて,研究テーマであるが,未だ,決定的なものをぼくは考えつきません。以下,いくつか。
 A. 潮間帯に分布するサンゴ礁原(またはショアプラットフォーム)とその後背に分布する溶食ノッチの高度の分布をレーザー測距儀で計測する。これは一応,与論島全周を想定する。これによってわかることは,次のようである。
 他の調査も必要となるが,外洋の海底地形,礁原の地形や幅,年間の風波やうねり,とノッチの高さは連動するはず,で,これまでこの種の,詳細な研究は行われていない。ノッチの高度については,武永健一郎が1970年に,地学雑誌かなにかに論文を載せている。他の研究も多い。木庭は沖永良部島で同様のことをして海水準変動を求めた(東北地理,第四紀研究)。
 B. 現在の礁原の高度を与論島全域で測って,特に高い部分から現地性のサンゴ化石を採取し,帰ってから,年代測定を実施する。これによって,礁原高度と他の条件との関係を求めて,かつての高位海水準の年代を求める。この種の研究は木庭など多くの研究がある。
 C. 現成サンゴ(生きているサンゴ)について,同位体効果の観点から,光合成の変化について調べたいと思うが,具体的手法について,考えが及ばない。
 海の条件が悪い場合:
 G: 砂丘のいい露頭があれば,構成物である星砂またはレスを採取し持ち帰って,年代測定,同位体分析を実施したい。その際,現在のビーチの堆積物も比較のために採取する必要がある。星砂が生きていた時代の年代や光合成量や水温を想定できる。
 H: リゾートホテルや港建設によるビーチの破壊の現状を調べて,その対策案を提示する。
 I : 海岸線に最も近い段丘や斜面から未変質のアラレイシからなる原地性サンゴ化石を探して,それを持ち帰り,年代測定を実施して,過去の海水準変動を復元する。

2. 準備
 スキンダイビングの練習を関大のプールで昼の12時〜13時,または18時〜20時に実施します。他の方のじゃまになりますので,前もって予約する必要があります。できるだけ早くした方がいいと思います。
 まずは,シュノーケル,一眼のマスク(両眼と鼻も包むもの)を揃える必要があります。フィンもあれば便利ですが,運ぶのが嵩張るので,買わなくていいです。珊瑚礁の上を歩くのにウェットブーツが必要ですが高いので,底が結構厚い運動靴がいいです。
 下記のサイトは参考になるでしょう。
http://www.okinawainfo.net/sukin.htm シュノーケル,マスク購入の際に参考になる
http://www.okinawainfo.net/sukin2.htm シュノーケリングの方法で参考になる
 デパートやスーパーでは夏季期間中,購入可能だけど,ダイビングショップの方がよりいいものがある。高いけれども。
  シュノーケルは,なるべく単純なものがよい。水抜き弁はない方が絶対にいい。パイプの太さは細い方がいい。子供用のはやめた方がいい。顔と合わないので。マスクは顔の形が丸ければ,どんなのでも合うといっていいかも知れない。顔が丸くても,必ず,顔につけてみて,ぴったりと付着するかどうか確かめること。ダイビングショップについては,ぼくはまだ行ったことがない店であるけど,探検部のOBがやっているので,良心的な値段で提供してくれるので,必要ならば紹介します。
 君たちがこの種の道具を揃えた段階で,プールで講習をします。

3. 調査で持参するもの(現在思いつくもの)
 全員で: GPS(木庭),パソコン(木庭),レーザー測距儀,ハンマー(教室),タガネ(木庭), 測深器(木庭,どうしようか?),
 各自: シュノーケル,マスク,水着,水中作業用の靴と靴下と薄い長袖の上着,

途中です。