報告書の作成法 2002.11.26

 この種のテーマを数百字で説明することは難しいが,次に示す学生の勘違いを訂正することは可能だろうと思う。この勘違いとは,
1. 調査前の準備で考えられた研究目的に従って報告書を作成しなければならない。
2. 調査過程を重視して,報告書を作成した方がいい。
3. 調査報告書の体裁を考えて成果のプロットの基図を大縮尺図(e.g.国土基本図)ではなく,比較的小縮尺の地形図などにする。
4. 報告書を,実習期間中に得た資料・試料などのまとめと考える。
といったことである。

 1.であるが,研究者であっても場合によってはこれを実現することは難しい。ましてや予備調査もせず,直接,本調査で,しかも信じられないくらい短期の調査にあってみれば,これは不可能とも言える。調査中,または帰ってから見えてくるものを形にするというのは当然のことである。
 2. どんなに調査過程が適切であったとしても,報告書にその流れを示すべきではない。如何に簡潔に得られた結論を示すことができるかが,報告書に問われるのである。
 3. 調査が2万5千分の1スケールで実施されているのであれば,その縮尺でまとめるのは正しい。そうで無い場合,つまり国土基本図などを使って調査したり,そういう縮尺の分布が必要な場合には,その図に種々の情報をまとめ,それから結論を引き出し,その結果を別途,小さい図でも読者が見えるように工夫するのである。
 4. 実習期間中またはそれ以前に収集した資料などを克明に整理するのは当然である。それから,グループでのメンバーが分担して,結論を引き出す必要はある。しかしながら,ただ,まとめる,つまりサマライズするのではなく,論理の展開が要求される。