ディジャーDidger 4 はデジタル化,座標変換,ジオレファランスイメージに適している。Parallels Desktopの上のWindows XPでDidgerを使用している。
GISソフトの補助的機能を持つ。ただこのマニュアルは存在しない。Getting Started Guideはあまりに簡便で,使用目的に応じた記載がない。Helpはあるが,用語の説明のみと言って良い。FAQまたはSupportの窓口はある。ただ,内容は希薄であり,思考錯誤して使用法を求める必要がある。
http://www.goldensoftware.com/faq/didger-faq.shtml
http://www.goldensoftware.com/forum/
http://www.goldensoftware.com/products/didger/didger.shtml
同じまたはほぼ同じ地域について異なる地図投影法で作成されたイメージを重ねる作業過程を次に示す。実際の地図作業にあって,この種の需要は高い。同じ投影法であっても,縮尺が異なっていたり,種々の作業で元々の地図から歪みが生じた場合にも適用できる。基準となる歪みのない(と想定される)地図のスキャン画像が必要となる。この地図はgeoreferencedされていることが望ましいがされていなくても,Didgerに取り込んで画像座標値(image x, image y),左上隅が原点,をそのまま,規準座標値(reference x, reference y),左下が原点,にしてしまうことで基準となる地図として利用が可能である。ここではこの手法を述べることになる。
0. 画像にPhotoshopなどの画像処理ソフトでコントロールポイントを数カ所設定する。Illustratorが使用できるのであれば画像で書き出せばいい。できるだけ画像の4隅と中央部に設定する。一つの直線上に3点が載ることはできるだけ避ける。
1. Didgerが読み取り可能なファイル形式で保存する。tiff画像は対応ファイルのリストにない。一般的なものでは,jpeg, gif, bmpであるが,tiffファイルをインポートすることが可能で,最も適しているようである。
2. Mac上のWindowsを使っている場合は: Mac上のWindowsXPの共有フォルダー(マイネットワークの中で表示される)に処理対象のファイルを何らかの目的に応じて新規フォルダーを作成して入れておく。
1. File / Import
2. ダイアログウィンドが開く。使用環境によって異なるが,マイコンピュータ|ネットワークドライブX:にぼくが作ったMac_Win_Sharedフォルダーがあるところ。この中に新規にフォルダーを作って基準となる茨木市2万分の1jpgファイル(今後基準ファイルとする)を置いている。
3. (スクリーンショット1)タイトルバー Image Registration and WarpingのSource Imageタブに画像が表示される。画像の4隅に自動的にCalibration pointsが設定される。image座標値の原点は左上であるから,左上隅のNo. 1は(0,0),右下隅のNo. 4は(3800, 5667)になっている。
このスクリーンショットに見られるように,reference座標値が自動的に設定されている。reference座標値は左下が原点だから,No. 3が(0,0),右上のNo. 2が(100,000, 100,000)になっている。縦横の画像サイズは異なるが,両方とも分割数が同じになっている。 これはどうもどんなイメージをimportしてもつねにこの値になっている。
画像座標No.4から,この取り込んだ画像が, 横幅3800ピクセル,縦幅5667ピクセルであるから,別途メモをしておくこと。
自動で表示された4点は最下部のdeleteボタンを使って,すべて削除すること。
4. 以下,あらかじめ画像に記録した5点(ここでは)について,コントロールポイントを設定する。
4.1 このウィンドの下部のCalibration表の最下部のボタンのうち,左端のAdd Pointをクリックして,空白行を用意する。そして,Point IDを入力する。この例ではCP-Aなどである。そして上の地図が表示されるウィンドで,左端の5ツールのうち,最上のSelect a calibration points以外のZoom in, Zoom out, Zoom extents, Pan Graphicを使って,拡大して予め作成したマークを十分に大きくする。そして,「最上にあるSelect a calibration points」ツールを選んで,calibration pointを入力してゆく。image( X, Y)はポイントした場所に対応して自動入力されるが,reference X, Yは自動入力されず,ただ0が表示されている。(スクリーンショット2)
4.2 Reference( X,Y)は,Didgerだと手計算・手入力が必要となる。別途表計算ソフトを使うことになる。そこで,Image (X, Y)だけが入った表データを,saveボタンで保存する。Didger終了。
OpenOffice起動
先ほど保存した,レファランスしたいテキストデータ,は,.datとなっている。このファイルは,マックでは読むことができない。WindowsにインストールしたフリーウェアのOpenOfficeで読むことができる。OpenOfficeからこの.datファイルを開くと,表計算ソフトが表示される。
見かけ上ではあるが,一桁だけ分解能を高める。画像サイズは横3800,縦5667であるが,これをそれぞれ10倍する。エクセルで,CP-A〜-Eについて,まずはImage( X,Y)の値を入力。Reference (X,Y)で,X値は変わらないからただ10倍する。Y値は (5667- Image Y)*10として求めることができる。Reference (X,Y)を入力し終わったら,csv形式で保存する。
Didger 起動
5. Didgerを立ち上げる。もう一つの作業した仮製地形図をimportして,上記のCP-A〜-Eに該当する点を対応づけて,アフィン変換を実施する。
5.1 仮製地形図.tifをimportする。ここでは横縦3800×5667となっている(スクリーンショット3)。
5.2 最下部のLoadボタンをクリックして,さきほど登録したcsv形式のレファランス座標値を呼び込む。何故かCP-Eが見られない。呼び込む行列の対応関係をここで修正することができるが,実際に呼び込んでみると,CP-Eも含まれている。
5.3 スクリーンショット4をみると,Image( X, Y)の値も基準となる茨木市の2万分の1地図で,地図上に示されている位置もそのままだから,この仮製地形図のSource imageの(X,Y)値を変更する必要がある。スクリーンショット5には,5番目のCP-Eのズレを示したものである。仮製地形図にもともとマークしたものが青色,基準となる2万分の1地図のCP Eの位置が緑色の点である。この場所が5カ所の中では最も大きくずれている。いずれの地図も2万分の1の図であるから,もともと大きなズレは生じていないが,平面直角座標系と多面体図法,そして後者のコピーの歪みが反映している。スクリーンショット6には作業結果を示している。
5.4 下の表のOptionsタブを開く。通常は,Warp methodはaffine polynomial,resampling methodはnearest neighborにするので,このままにしておく。この右上には,Total RMS(root-mean-squares)値が表示されている。この例では,63.137となっている。
5.5 OKボタンを押して,変換開始。PC環境やファイルの大きさなどにもよるが,1分ほどかかる。Plot1のウィンドに変換後の図がimportされ表示されるのに3秒ほどの時間間隙がある。
5.6 File / Exportで,共有フォルダーにtiffで保存する。Bitmap size in pixelsのWidth, Heightが表示される。 Dots per inch Horizontal, Verticalとも300 dpiになっている。Color depthはTrue Colorm,Spatial referenceはSave spatial reference information in GeoTiff formatとなっている。すべてこのまま保存する。