2003年12月29日記

地震分布作成ソフトの利用

 京都大学防災研究所地震予知研究センター 片尾 浩師作成のHyperDPRImapTM(for Macintosh)は,地震活動解析を行なうためのアプリケーションである。これによって,「京大防災研の微小地震観測網や気象庁の震源データを基に、震央マップ、断面図、時空間分布等々の図を作成することができる」。このソフトを利用するにあたってのマニュアルが
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/~katao/macsoft/DPRImap-man/DPRImapManual.html
に掲載されている。
 ぼくのゼミ生の尾崎は片尾先生とお会いする機会を得,茨木市およびこの周辺域の地震観測データを譲り受けた。そして片尾先生から紹介されたのがこのソフトである。この使用にあたって,ぼくが使用する際に気が付いたことを次に述べる。尾崎はこれからさらにこのソフトの使用法を学び,有効活用してくれるであろう。以下は,上のサイトのマニュアルとこの「HyperDPRImapコマンドリファレンス」の説明の補足的または確認というような内容である。

1. まずは,HyperDPRImapアプリ本体は、
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/~katao/macsoft/DPRImap.cpt.hqx から、
最小限のデータファイル("dprimap.com"、"DPRImap.MAP"、"DPRImap.KYO"、"DPRImap.FLT"およびバイナリデータの例として"DPRI:dpri93.bin")は、
http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/~katao/macsoft/mindat.cpt.hqx からダウンロードする。

2. 前者をダウンロードすると,アプリHyperDPRImapェ3.9.1PPCが,
後者をダウンロードするとmindatフォルダーができて,この中には4個のファイルdprimap.com、DPRImap.MAP、DPRImap.KYO、DPRImap.FLTと,1個のDPRIフォルダー(この中にdpri93.bin)が含まれる。これらをアプリを含めて一つのフォルダーにまとめる。

3. 尾崎が頂いたデータファイルは,通常のテキストエディターやWordでは読むことができなかったが,Excelで読み込むことができた。これをテキストで保存したら,テキストエディターで読み込むことができた。ユーザーデータはテキスト形式で作成することが可能である。尾崎さんが頂いた資料は次のようである。
StartTime= 810101 0000
EndTime = 001231 2359
Zmin= 0.00km Zmax= 20.00km
Mmin= 1.00 Mmax= 9.00
X1= 135.3941E Y1= 34.6677N
X2= 135.7456E Y2= 34.6677N
X3= 135.3935E Y3= 35.0902N
X4= 135.7468E Y4= 35.0902N
--------------------------------------------------
81 1 1 5 20 48.24 34.9986 135.5788 12.48 1.3
81 1 2 19 53 11.60 34.8430 135.5104 11.55 1.3
81 1 3 20 34 13.63 34.8568 135.5930 12.11 1.1
(以下続いている)
アプリで使用するユーザーデータとしは,-----------の直下の81 1 1 5 50 ....から始まるものである。
年代 月 日 時 分 秒 緯度 経度 深度(km) マグニチュード からなる。間にスペース,行末はリターン。
 ファイル名はデフォルトのDPRImap.USRにするのが便利だが,何でもいいらしい。このデータファイルもアプリなどと同じフォルダー(同一階層)に入れる必要がある。

4. これで準備ができた。 HyperDPRImapを立ち上げて,まずはSettingsメニューで,表示の条件を設定する。Settingsメニューを開いて,上から下へ入力してゆく。途中で止めるような場合,また最初から入力する必要があるので次のようにすればいい。最初に立ち上げたときはdprimap.comが自動的に読み込まれる。自らの条件を入れてSettingは当然デフォルト値を変更するがそれを保存したい場合はFileメニューのSave Paramsを選べばいい。dprimap.prmというファイルに記録される。何度も保存が可能である。この内容はSettingsメニューのParam Listを選ぶと表示されるので,Command+Shift+4でスクリーンショットしたのが次のものである。

dprimap.prmの内容を書き出すと

34.880 135.570 Orig_Lat&Long?
1.0 Mag_Scale?
1 Draw_Faults?
1 Draw_KENKYO?
-1 Draw_Mesh?
0 Draw_stations?
1 Draw_Legend?
0 XY_or_LatLong?
-16.50 16.67 XMIN_&_XMAX?
-22.00 23.31 YMIN_&_YMAX?
0.00 20.00 ZMIN_&_ZMAX?
0.00 9.00 MMIN_&_MMAX?
81 1 1 5 20 Start_Time?
0 12 30 17 21 End___Time?
1 Data_Set_No?
2 User's_Data?
++++++++++
0 Sorting_ON?
-6.85 15.43 X1_&_Y1?
-3.08 28.07 X2_&_Y2?
19.97 3.04 XW_&_YW?

のようになっており,最初の行の原点以外は,緯度・経度の範囲設定が記録されない。これはプログラムバグだろう。だから,Fileメニューでdprimap.prmをloadしても,XY座標が選ばれているので,Settingsメニューで,Map Areaを選び,by Long. (X) & Lat.(Y) in deg.のボタンを選ぶ必要がある。選ぶと入力した値が保持されていることを知ることができる。片尾によれば計算処理はXY座標系で実施しているとのことなので,このようなバグが残ったのであろう。dprimap.prmをテキストエディターで修正することは可能だが,たぶんプログラムの実行文と連動しているようだから触らない方がいいだろう。

5. Settingsメニューで,Map Areaを設定するのだが,プログラムでは経緯度値で長方形の領域を示し,頂いたデータの領域は逆台形になっているので注意する必要がある。下記の四隅の経緯度値の例では,

X1= 135.3941E Y1= 34.6677N
X2= 135.7456E Y2= 34.6677N
X3= 135.3935E Y3= 35.0902N
X4= 135.7468E Y4= 35.0902N

Map Areaの入力は,

XMIN:135.3935 XMAX:135.7468
YMIN: 34.6677  YMAX: 35.0902

でなければならない。

なお,Origin of X-Y CoordinateのLat.とLong.は,全体の領域のほぼ中央がいいらしい。そこでMINとMAXの平均を取って, LAT:34.88 LONG:135.57 としている。

6. SettingsメニューのFile config.で,描画のためのファイルを指定する。デフォルトでは,User's Hypo Data: DPRImap.USR, Station List: DPRImap.STA, Special-Plot commands: DPRImap.PLTが入っている。後ろの二つのファイルは使わないので削除して空白にする。User's Hypo Dataは任意だがデフォルトを使うために,ぼくはここではユーザーデータをこのファイル名にしてアプリと同じフォルダーに入れている。

7. Settingsメニューで,Sort Areaの設定を実施するのであるが,Sorting OFFのボタンを選んだ方がいい。Sortingの意味がもう一つわからないので,図上で作業した方がいい。つまり,SettingsメニューでSort by mouseを選ぶ。そうすると震源分布図が表示される。(デフォルトでは既存データベースからの情報がプロットされる。)


 投影したい断面の位置を線分で指定する。上の図では(X1,Y1)と(X2,Y2)で結ぶ直線が断面位置になる。そして矩形領域内の情報を対象とする。対辺は(X3,Y3)と(X4,Y4)の線分である。Sort Areaの設定では領域を指定するには(X3,Y3)と(X4,Y4)の線分上の1点を選ぶことで矩形領域を設定することができる。しかしこれは面倒なので,Sort by mouseを使用するのだが,まずは(X2,Y2)に該当するところでクリック離,そして(X1,Y1)に該当するところをクリック離,そして対辺を描くのだが矩形領域がグラフィックに表示されるので適当な位置でクリック離する。これでうまくゆく。

以上で,pictファイルに出力したものを解像度をかなり落として次に表示する。より詳細な分析はこれから尾崎が実施する予定である。

なお,著作権についてを転記しておく。

====著作権について====
 HyperDPRImapはフリーウェアです。営利目的以外の使用や配布は自由です。
 ただし、震源データは京都大学防災研究所地震予知研究センターが著作権を有します。論文や学会発表に利用する場合は、本センター微小地震観測網責任者の許可を得た上、京都大学防災研究所地震予知研究センターの震源データを使用した旨明記するようお願いします。

Plop & Sort表示例

Vertical Section表示例

以 上