国土数値情報をGrassで

20010.12.6作成 2016.11.23 修正

0. 国土数値情報ダウンロードサービスで利用者が必要なファイル名を調べる Nov.21, 2016作成,Nov. 23修正

  国土数値情報は2万5千分の地形図単位になっているので, 必要な場所の,25000分の1地形図の名称と,第2次地域区画=2次メッシュのコード番号を知る必要がある。その方法をここに記す。当方の父が設立した施設付近の数値情報のダウンロードを例にする。
  この場所の地名は,亀岡市本梅町平松原谷であるが,Googleで,「亀岡市本梅町」でmapを選んで,地名検索すると,「亀岡市本梅町」の行政区が赤線で囲まれたネットパターンで表示される。その位置を覚えておいて,次に,「亀岡市」で検索すると,亀岡市の範囲が,本梅町同様の形で表示される。
  この表示はそのままにして,次のサイトに入る。
地理院ホーム > 5万分の1,2.5万分の1地形図の新旧緯度・経度対照表(索引図)
http://www.gsi.go.jp/MAP/NEWOLDBL/25000-50000/index25000-50000.html
  ここでの例では,20万分のT地勢図「京都及び大阪」で,一次メッシュ 5235にあたる。図上のこの場所をクリックすると,その拡大図が表示される。この図(すぐ下に表示)と,さきほどのGoogleのマップ表示を,両図の行政界を手がかりとして,見比べて,対応する25000分の1地形図を調べることになる。

  当方が必要な25000分の1地形図は,宮都西北部の亀岡,と,園部の埴生(南丹市園部町ハブ),である。2次メッシュ番号は,この木庭のサイトの,おサルのGIS GRASS,QGIS,R / ☆ はじめに / 基準地域メッシュ,に示しているように,この地勢図図廓の南西隅を原点として,northing0〜7,easting 0〜7,の座標軸でカウントするから, 25000分の1地形図「亀岡」は,5235-44,「埴生」は,5235-43となる。それゆえ,5235-44の5mメッシュの,基盤地図情報 数値標高モデル > JPGIS(GML)形式  をダウンロードする場合であれば, FG-GML-5235-44-DEM5Aと, -DEM5B,の2ファイルが該当することになる。DEMは25000分の1地形図の図廓一つについて,2分割されているので,ファイル名がAとBに分かれる。
  5mメッシュでは,10mメッシュに比べて, 2×2の密度になるのが道理で,10mメッシュ情報は2万5千分の1地形図1枚に対して,一つのファイルで足りる。
p. 43の「表4-1 基盤地図情報の提供データセットの作成単位」によると,提供データセットの作成単位は, 基盤地図情報(数値標高モデル)の
5m メッシュ は, 3 次メッシュ単位
10mメッシュ は, 2 次メッシュ単位
であるから,先に述べた5m メッシュ の2ファイル,例えばFG-GML-5235-44-DEM5A.zipと同-DEM5Bは,二万5千分の1地形図の半分単位に分割されてはいるが, zipファイルを解凍すると多少理解できるのであるが3次メッシュ単位で構成されている。

補足 Dec. 17, 2016:  数日前,学生のために5mメッシュDEMをダウンロードして気づいたことであるが,2万5千分の1地形図一枚分をダウンロードした際に, 5mメッシュDEMファイルが一つと,10mメッシュDEMファイルが一つが得られる場合は,5mメッシュDEMは平地部分だけが用意されており,その他の領域は10mメッシュで保管されているということがわかった。おそらく,この10mメッシュDEMは2万5千分の1地形図の図郭全域をカバーしている。このように考えると,今後は,10mメッシュを特に選ぶ必要はなく,5mメッシュを選べば,求める地形図郭全域のDEMが得られることを意味する。

 

1. 基盤地図情報ダウンロードサービス updated Nov. 23, 2016

 http://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php から入って,基盤地図情報をダウンロードすることができる。数値標高モデルはラスターデータに属するDEMで,基本項目とは,ベクトルデータに属する「測量の基準点」「海岸線」「行政区画の境界線及び代表点」「道路縁」「軌道の中心線」「標高点」「水涯線」「建築物の外周線」「市町村の町若しくは字の境界線及び代表点」「街区の境界線及び代表点」を指す。

 

2. KsjToolの問題 基盤地図情報基本項目には使えない,国土地理院提供の数値地図ビューワー,を使います。
  updated Dec. 2, 2016

  国土地理院の基盤地図情報の次のダウンロードサイト, http://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php では,ベクトルファイル形式のxmlで,基盤地図情報基本項目が提供されている。他方, 国土交通省の,国土数値情報ダウンロードサービス http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/jpgis/jpgis_tool.html  には,xmlファイルをshapeファイルに変換するソフトが提供されている。これは,前にぼくが使った時は使えたが, 現在では,基盤地図情報基本項目には使えない。要注意である。
  ちなみに,基盤地図情報に使うと,, 「変換対象の地物が見つかりません」 (指定したファイルが変換対象のXMLでない場合に発生します),Inputエラーメッセージが出て,機能しない

  変換ソフトは32ビット用と64ビット用がある。Nov. 2016現在のヴァージョンは1.8である。現在のpcのプロセッサーは64ビットであっても,32ビット用ソフトが動くので,32ビット用も使うことができる。
 ※ver1.7以前の変換ツールがインストールされている場合、 「コントロールパネル」→「プログラムの追加と削除」機能で、ver1.7以前の変換ツールのアンインストールを行ってから、Ver1.8のインストールを行ってください。インストールの際に,Java 6 Runtime Environment ver. 1.6が必要で,pcに未インストールの場合,変換ツールソフトの前に,インストールアプリKsjToolInstaller.exeを実行すると選択することができる。
   v.1.8のプログラムをダウンロードする際には,保存にする。そうすると,ダウンロードフォルダに,zip圧縮ファイルが入るので,それをデスクトップにドラッグアンドドロップして,ダブルクリックすると解凍されたフォルダが現れる。その中の,インストールアプリKsjToolInstaller.exeをダブルクリックすると, すべてのプログラムのリストで,KsjToolを見る事ができる。つまり,C:\Program Files\KsjToolにインストールされる。解凍フォルダにはヘルプpdfがあるがダウンロードしたフォルダは通常は削除してしまうだろうから,,ここにヘルプのリンクを張る。

追加 2'.  公共測量ビューアコンバータ 国土地理院提供の数値地図ビューワーでコンバーター
  updated Dec. 5, 2016

 http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/sien/pindex.html
「公共測量ビューアコンバータは、公共測量の計画機関において作成された数値地形図データ(DM)等の表示機能、汎用フォーマット等へのコンバート機能、作業規程の準則に準拠した成果品等の確認機能を有しているフリーソフトウェアです。本ツールを幅広く利用する事で、GIS等の普及、基盤データ整備の促進が期待されます。公共測量成果ビューアーは、数値地形図データ(DM)等の表示機能に特化したフリーソフトウェアです。
納品された電子納品成果を確認する際に御使用ください。」

  ダウンロード
公共測量ビューア・コンバータ(PSEA Ver4.23) 平成28年4月1日更新
【 ZIP形式:26.7MB 】
公共測量成果の確認と、ファイル形式の変換が行えます。
必ずお使いのコンピュータに保存し、ファイルを解凍して使用してください。

公共測量ビューア・コンバータ(PSEA)操作マニュアル
【 PDF 形式:10.6MB 】

DM→CAD相互変換ソフトLogical Translator(LT)利用者マニュアル 平成28年4月1日更新
【 PDF 形式:388KB 】
※関西大学作成のマニュアルです

公共測量成果ビューアー(psv Ver1.01)
【 ZIP形式:24.6MB 】
公共測量成果の確認が行えます。
必ずお使いのコンピュータに保存し、ファイルを解凍して使用してください。

公共測量成果ビューアー(PSV)操作マニュアル
【 PDF 形式:6.70MB 】

 

3. ベクトルデータダウンロード例 updated Dec. 2, 2016

 国土地理院の http://fgd.gsi.go.jp/download/menu.php から入って,基盤地図情報基本項目をダウンロードしますが,
上部には,,「地図から選択される方はこちら」,下部には「リストから選択される方はこちら」とある。
  前者の場合は,2万5千分のT地形図,つまり,2次メッシュ単位なので,行政区画に拘泥しない場合,こちらがより有効である。 
 後者の場合, 行政区画(面 これはポリゴンに対応している)データを選ぶと,行政データのページに飛ぶ。平成の大合併は2005年までの時限立法であり,H.17年まででおよそ終息する。データの最新の更新日はH.19.4.1(2007)なのでまず問題はないだろう。
   座標系はJGD2000/(B, L)である。つまり測地系2000の経緯度である。
   上記ページの下方に表または図で県別に選択できる。京都及大阪が含まれる大阪,京都,奈良,兵庫,滋賀にチェックを入れて,選択ボタンをクリックする。その結果,昭和25年以来のデータが表示される。何故か,最新のものに平成21年があるのでその5ファイルにチェックを入れて,選択ボタンをクリック。
 使用者へのアンケート調査があるので回答する。そしてダウンロードする。ファイル名は,N03-100329_25.zip〜_29がそれぞれ,滋賀,京都,大阪,兵庫,奈良,が対応している。「保存」を選らんだ方がダウンロード先を特定できるのでいいだろう。
 zipファイルをダブルクリックすると解凍され,例えば大阪の場合,KS-META-N03-100329_27.xml (16kB)とN03-100329_27.xml(13.1MB)からなる。

4. shapeファイルへの変換: KsjToolが使えない  updated Dec. 2, 2016

 KsjToolは,いまは 全然つかえないので,このプロセスは,基盤地図情報ビューワー,を使う。左のペーンの,
☆ 基盤地図情報2500 25000(含5000土地利用)のGrass(平面直角座標系 UTM座標系)への取り込み
を参照すること。

5. 座標系の変換: ogrを使って

前述のように,このように作成されたファイルは,測地系2000の経緯度のものである。これを他の測地系に変換する必要がある。ここでは,すでに作成した旧測地系UTM53Nの「京都及大阪」にプロットしたい。それゆえ分断した大阪府の行政界をプロットする。他の4府県も同様にすることで全ての行政界をプロットできる。
 さて, ラスターファイルのgdalwarpと同様の機能を持つベクトルファイル座標系変換ソフトが,ogr2ogr http://www.gdal.org/ogr/ である。GDALは,Geospatial Data Abstraction Libraryを意味する(発音 goo-doll,a bit like goo-gle)。OGRは,もともとはOpenGis simple features Reference implementationを目指したことに由来する。
 月の杜工房 http://mf-atelier.sakura.ne.jp/mf-atelier/modules/tips/index.php/tec/gdal-ogr_tips.html のメモでは, ベクタデータの座標で、経緯度⇔座標値の変換をするにはogr2ogrコマンドでフォーマットの変換と同時に座標値も変換することができるとあり,平面直角座標9系のdgnファイル(http://mf-atelier.sakura.ne.jp/mf-atelier/modules/tips/index.php/libs/dgnlib/dgn_tips.html)をGRS80の経緯度のkmlファイルに変換する例が示されてる。なお,gdalと異なって,ogrのファイル名の順は逆で,dst_datasource_name src_datasource_name となる。

> ogr2ogr -f KML -s_srs EPSG:2451 -t_srs EPSG:4019 out.kml in.dgn

 このコマンドの-f KMLは出力したいファイル形式を入力する。ここでは,-f "ESRI Shapefile" としたいところだが,shapeファイルはdefaultなので,入力の必要がない。
 さて,shapeファイルは,-.shpと-.dbfと-.shxの3ファイルで成り立つからフォルダでの指定が必要となる。http://www.yaskey.cside.tv/mapserver/diary/diary.php?mode=main&COM=326 の末尾に示されている次の方法でフォルダ単位が可能となる。

> ogr2ogr -t_srs EPSG:4326 4326folder/4326.shp -s_srs EPSG:2448 ./2448/test.shp

この形は先のものと違って座標系とファイルが連続表示されている。この方がソースとターゲットのファイル並びに混乱が無いだろう。この場合は,ターゲットを先に示す必要がある。

 以上を踏まえてここでは,次のように表現できる。ogrのサイト http://www.gdal.org/ogr2ogr.html を参照して欲しい。EPSGコード番号を調べるのに,http://spatialreference.org/ref/?search=japan&srtext=Search がある。Searchの窓にJapanを入れれば主に測地系2000の日本関係の座標系が表示される。旧測地系はTokyoで検索した方が良い。世界測地系経緯度に対応するのはEPSG: 4612 http://spatialreference.org/ref/epsg/4612/ ,旧測地系UTM53Nは,EPSG:3094 http://spatialreference.org/ref/epsg/3094/ である。

> ogr2ogr -t_srs EPSG:3094 /Users/moto/grassdata/FileConvert_folder/Osaka_fu_admin_bnd3094/Osaka_admin3094.shp -s_srs EPSG:4612 /Users/moto/grassdata/FileConvert_folder/Osaka_fu_admin_bnd/N03_100329_27_EC01.shp

 Grassはファイル名にハイフンが使えないのでアンダーバーに前もって変えている。ファイルへのパスが長いが,ターゲットのフォルダOsaka_fu_admin_bnd3094をファインダで用意し,さらに作成するshpファイル名も上記のコマンドに含まなければならない。

 

6. 不要な領域の切り取り 2010.12.7修正

 さて,当初,次のように考えた。
 大阪府の行政区画の必要部分だけ切り取る必要がある。ソースファイルの必要な範囲を指定するので,測地系2000の経緯度表示になる。W,S,E,N(西から反時計回り -spat xmin ymin xmax ymax の形)の順にする。この図幅の南境界線は大阪市または東大阪市を分断する。KS-META-N03-100329_27.xml(ブラウザーで読める)はメタデータであるが,これには「行政界 市区町村 国土数値情報 001 25000 jpn 004 003 2010-03-29 2010-03-29 JGD2000 / (B, L) 135.000000 135.750000 34.250000 35.083333 大阪府 005 平成22年3月29日時点の市区町村にない市区町村データが存在している場合を過剰とする」という記述がある。ここに表記されているのは測地系2000である。一方,取り込み予定の旧測地系の南縁は34d40'つまり,34.666666である。http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/tky2jgd/ のTKY2JGDを使用する。このソフトでは34d40'に対応する表現は3440000.0となる。ウンヌンカンヌン。

 上で述べた考え方は誤りであった。ここでは,後述のように範囲指定の必要がない。結局先ほど示したコマンドと同様のもので実行する。

GRASS 6.4.0 (UTM53-tokyo):~ > ogr2ogr -t_srs EPSG:3094 /Users/moto/grassdata/FileConvert_folder/Osaka_fu_admin_bnd3094/Osaka_admin3094.shp -s_srs EPSG:4612 /Users/moto/grassdata/FileConvert_folder/Osaka_fu_admin_bnd/N03_100329_27_EC01.shp
GRASS 6.4.0 (UTM53-tokyo):~ >

このように,実行してエラーメッセージもなく一瞬でできた。作成予定のフォルダを見ると,prjファイルを含めて,4ファイルが作成されていた。

7. Grassへの取り込み

  取り込むLocationを立ち上げる(ogr2ogrを実施したterminalがこのLocationと一緒に立ち上げているので実際はすでに立ち上がった状態である)。File/Import vector map/Multiple formats using OGR で選んで,パネルで,OGRのdata source nameとして,Osaka_fu_admin_bnd3094フォルダのOsaka_admin3094.shpを選ぶ。Output vector mapとしては,Osaka_admin_bndを入力して,OptionタブでOverride dataset projection (use location's projection)にチェックを入れる。実は,このパネルにはSubregionパネルがあり,ここで設定できる(下に補足を述べる)。エラーメッセージがなく,種々のメッセージが流れて終わる。

次の図は平面図を表示したものである。

 

次の図はnvizで表示したものである。

なお,地勢図の表示がかなり粗くなっているのはGrassの限界なのか。縮小表示の際には粗雑に見える。

8. 補足(サブリージョンの設定とWindows環境)

  Subregionパネルの設定について: 実は全く計算の必要がない。地勢図「京都及大阪」は2府3県からなる。行政区画は新測地系で各県の領域は矩形でかなり広い範囲が設定されている。この領域と地勢図の領域の関係を捉えて大阪の場合は,行政区画の南側を切り,兵庫県は西側,南側,北側を切るといったことを考えた。ところが,いらないところを切るという発想を止めて,欲しいところを確保すると考えれば,v.in.ogrで取り込む時のSubregionパネルの設定で,どの府県でも,一律に,135dE, 34d40', 136d, 35d20'を入力すればいいのである。

9. Windows環境での実行について

  これはイントロのところで述べる。

 

以 上