ASTER画像出力など  2003.8.4

1.ASTL1BとAST3A01の出力

 ASTER衛星画像で実用性の高く利用法が特化していないのは,ASTL1Aからより高次に出力されたASTL1BとAST3A01だ。
http://www.gds.aster.ersdac.or.jp/gds_www2002/service_j/a_p.guid.list_j.html#Anchor111062

に掲載されている両画像の特色を次に示す。
 ASTL1B(Radiance registered at sensor)は,ASTL1Aに幾何補正と放射量補正を施したもので,このプロダクトと同じ投影法の地図と重ね合わせることができるし,画像データの数値(DN)を放射輝度あ温度などの物理量に変換することが可能だ。
 AST3A01(Radiance registered at sensor with orthophoto correction)は,オリジナル画像から正射影画像に補正し,標高による地形の歪みを無くしたプロダクトである。相対DEM(4A01)プロダクトを基に歪みが補正されたものだ。
 現在公開されているソフトのうち,私にとって有効と考えられるものは下記のサイトに公開されている最新の二つのソフトだ。次のサイトに公開されている。
http://www.gds.aster.ersdac.or.jp/gds_www2002/service_j/u.tools_j/set_u.tools_jmul.html

(10) ASTER Data Opener (2003/5/6 Update)
 HDF形式のASTERデータを換して、単バンドまたはBSQ形式に変換するツールです。 これによって、ASTERデータをPhotoshopなどのBSQ対応の汎用プログラムで閲覧することができるようになります。 動作環境 CPU Intel Pentium120MHz (166MHz以上を推奨) メモリ 64MB (128MB以上を推奨) 動作確認OS Windows98SE Windows Me WindowsNT (4.0以降) Windows2000 ディスク容量 ソフトウエア 約1MB (ライブラリ等を含む) データ容量 対象データに依存 参考容量 VNIR : 20MB/Band TIR : 2MB/Band SWIR : 5MB/Band 2003年3月リリースバージョンでの対応プロダクトは以下のものです。 L1A, L1B, L2A02,L2A03V,L2A03S,L2B01V, L2B01S,L2B01T, L2B03T,L2B04T,L2B05V, L2B05S, L3A01(Ortho), L4A01Z(DEM)
  以下のインターネットサイトから最新版が無料でダウンロードできます。 (ファイルサイズが6M以上あります。ダウンロードの際、ご留意ください。) http://www.gds.aster.ersdac.or.jp/gds_www2002/Opener/ASTERDataOpener.lzh

(11) MultiSpec
 HDFフォーマットの画像ファイルを表示するのに便利なツールです。 MacintoshのOSX 10.1.xおよび、Mac OS9.*以下で動作します。 Windowsの場合は、95/98/ME/NT/2000/XP で動作します。 詳しくは、下に示すダウンロードサイトから情報を得てください。 MultiSpecのダウンロードサイト http://dynamo.ecn.purdue.edu/~biehl/MultiSpec/

 使い方のまとめは,「MultiSpecでASTER HDFフォーマットの画像を開く方法(PDFファイル)」にある。
 
MultiSpecはMac用で気に入っている。HDFまたはCEOSフォーマットファイルを開いたり,shapeファイルまたはtiff画像ファイルに出力する機能があるが,正射影画像AST3A01には対応していない。なお,このアプリケーションを利用する際には,CD-Romから必ずファイルをハードディスクにコピーして一つの新規フォルダーに入れておく必要がある。ここでは正射影画像AST3A01にも対応している(Windows版ではあるが)AsterDataOpenerについて示す。

2. 正射影画像ー3Dオルソ(AST3A01)のバンド群

 アプリケーションの利用法の前に,正射影画像のバンド群について示す。http://www.science.aster.ersdac.or.jp/jp/documnts/users_guide/index3O.html
このサイトには,ユーザーズガイドが示されている。この一部を抜粋して,簡潔に次に示したい。

  ASTER (Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection radiometer)は 1999年12月にTerra衛星に搭載されて打ち上げられた高度多チャンネルイメージャであり、 高い空間、波長、輝度分解能をもち、可視から熱赤外の広い波長範囲を14バンドでカバーしている。 この広い波長範囲は、空間分解能15mで3つのバンドを持つの可視近赤外放射計(VNIR)、 30mの空間分解能で6つのバンドを持つ短波長赤外放射計(SWIR)、 90mの空間分解能で5つのバンドを持つ熱赤外放射計(TIR)の3つの望遠鏡でカバーしている。 さらに、3Dオルソ(L3A01)プロダクト作成に用いられる標高データ生成に 必要なステレオ機能のための後方視望遠鏡が、近赤外スペクトルバンド(バンド3B)に設けられている。 スペクトルパスバンドの詳細は次の表1-1に示されている。 Terra衛星は今、高度705mを円形のほぼ極軌道で飛行し続けている。 赤道通過の地方時10時30分、16日の回帰周期を持つ太陽同期の軌道である。

  3Dオルソプロダクトは,標高による地形歪みがなく,画素と緯度経度との関係が精密に決まっており, 地形図との対応が直接とれるデータで,標高データ付きの正射投影画像である。 可視光線が0.4〜0.7マイクロメートルであるから,VNIRのバンド1,2,3N,3Bが可視光線と近赤外光線を含む。3Nは垂直,3Bは立体イメージ作成のための画像であり,およそRGB出力するには,デフォルト指定を採用すればいい。つまり,
BAND 1  は3枚目 Red
BAND 2  は2枚目 Green
BAND 3N  は1枚目 Blue
である。TIRの後半Bandsは熱赤外に対応している。
 3つのバンドを持つ可視近赤外放射計(VNIR)は,空間分解能15mであり,その対応DEMは,DEMZVに当たるのだろう。DEM Zは楕円体高である。ユーザー指定パラメータのうち,
Datumのdefaultは,WGS-84
Map Projectionのdefaultは,UTM
Interpolationのdefaultは,cubic convolution
であり,筆者もこれを採用しており,衛星画像と共に使用する画像などは世界測地系に対応させた方がいい。DEM-Z(標高)データは,VNIR,SWIR,TIRそれぞれに標高データが添付されている。標高データには2dimensional data array 16bits integer (signed) が割り当てられており,1DN (Digital Number)が1mに相当している。標高データはWGS-84回転楕円体ベースで算出されている。
 ダミー画素には-9999が割り当てられている。
 画素の大きさは,VNIRの場合は,15mであり,画像データサイズは,(ピクセル数,ライン数)で表示される。つまり,(列,行)という配列になるので,注意する必要がある。

3. ASTER Data Openerの利用法

 前述のサイトの
http://www.gds.aster.ersdac.or.jp/gds_www2002/service_j/u.tools_j/photo/service_jphotos.html
に使い方が示されている。ただ,これは L3A01(Ortho), L4A01Z(DEM)用に対応していない。アプリケーションは対応しているのであるが,2003.8.4現在,マニュアルは未対応のままである。
 ASTERDataOpenerを実行して,読み込みファイルを指定するが,その際,REFerenceのボタンを押して,pr*.datファイルを選ぶ。そうすると,パス付きのファイル名が表示される。次に作成ファイル名を入力するが,たとえばVNIRのチャネル群を作る場合は,Kumihama_VNIRなどとする。

 次に表示バンドの表示である。

 上にチェックされている番号はデフォルトである。波長は前述のようにバンド番号が大きいほど大きくなる。ただ,RGB出力を考慮すると,Photoshopなどで出力する際はこのパネルの左下に示されたようにorder(1,2,3) to RGB orderの形となるので,出力番号が3,2,1となっている。VNIRの波長帯を出力する場合は,下の図のように,SWIRとTIRのチェックを外せばいい。

 DEMを出力する場合は,VNIRに対応するDEMZVを単独で出力する必要がある。

 この結果,下記の情報が出力される。

 出力番号順に画像のピクセル値が表示される。ただし,注意しなければならないのは,size (5004,4812)は,(列,行)の順である。この情報は画像表示の際に必要なので,記録しておくこと。

 完了したら,次にまた入力画面になる。DEMファイルは別ファイルにする必要があるので,ファイル名を変更する必要がある。

 この結果,Kuminhama_VNIR.3AVとKumihama_VNIR_DEM.DMVが指定フォルダーに出力されている。

4. Photoshopからの読み込みと出力

 PhotoshopでKuminhama_VNIR.3AVを汎用ファイル (Photoshop L版ではこの選択ができない)として読み込んでtiff画像で保存し,久美浜の砂嘴と砂丘部分を切り取ってjpegの粗い画像出力したものを次に示す。
(この画像については種々読みとれるが,教材の地理学実習のページで他の情報も含めて示す予定)

 (途中)

5. GRASSでの利用