50mメッシュMEM(DEM)の高度精度 2003.7.8作成

 国土地理院の数値地図50mメッシュ(標高)の精度点検が国土地理院によってなされた。下記の文献を紹介する。当方の考えが入った紹介になっているので正確を期するには原本をご参照願いたい。
野村治嗣・服部武志,2002.9. 数値地図50mメッシュ(標高)の精度検証. 地図ニュース,No. 360, pp. 3-6.

 この報告では,ディジタルオルソ法によって広島地区の1/5000(カラー)写真図 が作成されたのを契機に,これを使って50mメッシュ(標高)の精度を求める試みをしている。
 写真図は,いわば国土基本図を作成する写真測量(撮影写真CCG-2001X 4.19撮影,f=153.75mm, 1/20000)が実施され,写真プリントをスキャナーで読みとって(20μm/p)オルソ化(350dpi)して,数値地図化(主曲線10m間隔)したものである。つまりは既存の1/25000地形図の作成精度と大きな差はない。しかし,主曲線間隔10mの等高線と標高値だけではオルソ化には不足していると考えられる地区では,より詳細に高度情報が付加されている。
 精度検証のために,整形メッシュの基準数値地形モデル(DTM: Digital Terrain Model)を算定し(基準DTM),数値地図50mメッシュ(標高)からも同じ諸元のDTM(メッシュDTM)を作成し,個々のメッシュで高度差(
メッシュDTM - 基準DTM)を比較している。この地域は標高が10〜360mの丘陵地・山地と平均標高が5mの平地からなる。
 比較の結果,山地部では差の最大は23.6m,最小は-20.6m,平地部では
最大は6.9m,最小は-10.5mであった。そして差の大きい所は樹木で5m以上-10m未満が391箇所,10m以上-15m未満が175箇所,15m以上が53箇所であった。較差発生箇所全体の60.5%を占めている。他に,地形境界,橋梁,崖,新しい開発と続く。
 数値地図50mメッシュ(標高)は,紙地形図の等高線データから読みとったものである。森林地域では図化機で作業する際に,実体視のメスマークを森林内の地面が露出しているところに沈めるのであるが,等高線を書くために,同じ高さを樹高分だけ低くしてなぞっていく技術はかなりのものであるらしい。このように個人差もあるし,木の高さ自体,多様性がある。この点が,樹林部分の精度が低くなっている理由だと言う。

 結論を当方で言えば,山地部で20m,平地部で10mの誤差があると考えて,50mメッシュデータを使うのがいいということになる。想像以上に誤差が大きいのに驚く読者も多いのではないだろうか。

以 上