産総研シームレス地質図シェープ出力とGrassでの利用 Dec.2, 2012 rev. Oct.23, 2015(リンク切れの修正)

1. ダウンロードの方法

1.1 日本シームレス地質図(1/20万)
 メーンサイトは,https://gbank.gsj.jp/seamless/ で,左のペーンのリストのなかに,ダウンロード,がある。ここからダウンロードサイト https://gbank.gsj.jp/seamless/download/downloadIndex.html に入ることができる。国勢図の一次メッシュ番号が入った地図がここに示されており,該当図廓をクリックすると,ラスターデータ(kml,Geotiffなど),ベクターデータGISで利用できるシェープファイルとGoogle Earthで利用できるkmlファイルやイメージファイルもダウンロードできる。Mac上のSafariにも対応した。

1.2 1/5万 地質図
 この2012年4月まで近畿・中国地方の1/5万が公開されていたようだが公開が中断していた。2014年初夏だろうか,2000年ちょっと前以降に作製された1/5万の地質図が順次公開されてきた。
 1/5万 地質図  geotif , kml, jpg, pdfダウンロードサイトは次に。
昨年の秋までは,ベクトルデータが公開されていたがなくなったと思ったら,地質図幅リストの最上部からベクトルデータを検索することができる。kmlファイルとセットになっている。
https://gbank.gsj.jp/datastore/download.php?VCT=1&key=&scale=50000&sf=&so=

 以前はここに関西の使えるものを示していたが,もうリストアップする必要がないが,Oct.,2015現在のもの

京都東南部,京都西南部,京都西北部,京都東北部
大阪東北部,大阪東南部,大阪西南部,大阪西北部
桜井,奈良,吉野山,
広根,園部,綾部,神戸,
岸和田,

1.3 国土地理院の地形図など

 地理空間情報ライブラリー で,地理院地図KMLデータ,からリンクを開くと,
KML配信ファイルリストがあり,ここから,標準地図,色別標高地図,明治前期の低湿地,
空中写真については,1945-50,1961-64,1974-78,1979-83,1984-87,1988-90,2004-,2007-などのkmlファイルを得ることができる。
 ダウンロードは,一瞬でできる。 

2. 座標系の変換

 さて,シェープファイル群をダウンロード(ぼくの場合は平面直角座標系CSIV)してもなぜかそのままではGrassなどで使うことができなかった。例えば,1/20万和歌山図幅を例にとると,シェープ関係のファイルは2種ダウンロードされる。ひとつは,5135_d_lと5135_d_aである。前者はラインベクトルで,後者はポリゴンベクトルである。両者のdbfを見ると,6193行,後者は2691行あって,前者の最終列のLineには全オブジェクトについて漢字で「直線」と表示されているために,Grassでは
Warning 1: One or several characters couldn't be converted correctly from UTF-8 to ISO-8859-1.
This warning will not be emitted anymore
というエラーメッセージが表れて,一応変換されるのであるが,Grassには何も表示されない。Macのtcl/tkでやったためで,コマンドベースで実施すればできた可能性があると思って,後にコマンドベースやWindowsでやってみたが駄目だった。


 国土地理院のDEMが平面直角座標系といいながら実は経緯度で,座標変換する必要があるので,Grassのxwindowsで次のようにogrを実行した。ogrコマンドは,座標系とファイルが output-inputというようにfrom_to_ではなく,to_from_になっていることに注意。

ogr2ogr -t_srs EPSG:2448 /Users/moto/grassdata/FileConvert_folder/Asuka/geology/Geology5135dPolygon.shp -s_srs EPSG:4612 /Users/moto/grassdata/FileConvert_folder/Asuka/Geology5135shape_d_gcs/5135_d_a.shp

  なお,変換前の5135_d_a.prjファイルを見ると,GEOGCS["GCS_JGD_2000",DATUM["D_JGD_2000",SPHEROID["GRS_1980",
6378137.0,298.257222101]],PRIMEM["Greenwich",0.0],UNIT["Degree",
0.0174532925199433]] となっている。経緯度座標系である。

3. Qgisを使って 

 Grassでの表示を諦めてというか,Qgisを介してと何とかGrassへと思い,Qgisで開く。見事に簡単に開く。フォルダー毎,レイヤペーンにドラッグアンドドロップ。表示される。それで属性テーブルを見ると,Excel2004では表示されなかったLegendJ以下に18列のフィールドが表示されている。WindowsのDBF Viewerで見たら見えるのか,まだ確かめてはいない。改めてQgisの簡便さに驚く。フィールド名としてはCodeが最もいいようである。個々の岩石を区別できる。
 Qgisのメーンメニューで,プラグイン/Grass(G)を開いて,この場合,マップセットを開くを選ぶ。そしてgrassdataのフォルダが自動で認識されるが,されない場合,参照で指定する。Locationとmapセットを選ぶ。QgisでのGrassとの連動は,「はじめに」の該当箇所で示している。

 シームレス地質図(詳細)凡例
http://riodb02.ibase.aist.go.jp/db084/shosai_legend_j2.html

 なお,Qgisから出力したベクトルマップはもとはポリゴンであったが,ラインに変更されている。v.info map=Wakayama5135PolygonEnglish@Asuka layer=1 で情報をみると,

+----------------------------------------------------------------------------+
| Layer: Wakayama5135PolygonEnglish@Asuka |
| Mapset: Asuka |
| Location: Plane6_JGD2000 |
| Database: /Users/moto/grassdata |
| Title: |
| Map scale: 1:1 |
| Map format: native |
| Name of creator: moto |
| Organization: |
| Source date: Sun Dec 9 13:51:57 2012 |
|----------------------------------------------------------------------------|
| Type of Map: vector (level: 2) |
| |
| Number of points: 0 Number of areas: 2716 |
| Number of lines: 6226 Number of islands: 914 |
| Number of boundaries: 6142 Number of faces: 0 |
| Number of centroids: 2716 Number of kernels: 0 |
| |
| Map is 3D: No |
| Number of dblinks: 2 |
| |
| Projection: x,y |
| N: -147459.20200149 S: -221859.04010528 |
| E: -0.00000001 W: -92074.27638569 |
| |
| Digitization threshold: 0 |
| Comments: |
| |
+----------------------------------------------------------------------------+

 適切な情報が表示される。しかしながら,Display vector mapで指定して,表示する場合,領域は存在しない。つまり,QgisとGrassとの連動はできていないことになる。v.buildを次の様にコマンドベースで実行すると,

v.build map=Wakayama5135PolygonEnglish@Asuka error=Wakayama5135Geology option=build --overwrite
テキスト出力ではもっともらしいのだが,事実上,データベースが壊れている。

異なる地質毎のv.extractもコマンドベースで実行すると,メッセージはまるで成功したようにみえるが,事実上,作成されていない。

GRASS 6.4.2 (Plane6_JGD2000):~ > v.extract -t input=Wakayama5135PolygonEnglish@Asuka output=test3 type=centroid,area layer=1 "No = 6" new=-1 --overwrite

GRASS 6.4.2 (Plane6_JGD2000):~ > v.extract -t input=Wakayama5135PolygonEnglish@Asuka output=test6 type=line,boundary,centroid,area layer=1 "No = 1490" new=-1 --overwrite
Extracting features...
Building topology for vector map <test6>...
Registering primitives...
6226 primitives registered
114747 vertices registered
Building areas...
100%
0 areas built
0 isles built
Attaching islands...
Attaching centroids...
100%
Number of nodes: 4651
Number of primitives: 6226
Number of points: 0
Number of lines: 6226
Number of boundaries: 0
Number of centroids: 0
Number of areas: 0
Number of isles: 0
GRASS 6.4.2 (Plane6_JGD2000):~ >

 というわけで,Qgisでは少なくとも,シームレス地質図をまともにGrassには運ぶことができない。種々試みて,すごい徒労であった。もうQGISは,嫌。

 

4. Google Earth を使ってラスターで見る

 この方法であってもGEでの表示は極めて遅い。忘れた頃に表示されるという感じである。

 この方法は,ジオロジストのためのGIS入門,http://geologist-gis.blogspot.jp/2011/09/google-earthwms.htmlに記されている。

 GEを開いて,メーンメニューの,追加/イメージオーバーレイ,を選ぶ。パネルが表示されるので,更新タブを選んで,WMSパラメータをクリック,WMSサーバーにある追加ボタン押す。そして,そのurlとして,http://ghz201103.geogrid.org/wms/seamlessgeology200k_d_j? を入力する。OKをして,左側の透明レイヤーに選択可能なレイヤーを選び,基本的にはすべてを選ぶ。20万分の1日本シームレス地質図(詳細版),などの名前を入れる。リンクの窓にパラメータが表示されているが,比較的前ほどの,WIDTH=512&HEIGHT=512を, WIDTH=2024&HEIGHT=2024に変更する。ビューをベースに更新の部分では、カメラを停止後、1秒に直しす。ビューに基づく縮尺は1を入れる。OK。下記のWMSが他に紹介されている。

 
基盤地図情報25000WMS配信サービス(農研機構)
http://www.finds.jp/ws/kiban25000wms.cgi?

活断層データベース (産総研)
http://ghz201103.geogrid.org/wms/active_fault_j?

GEO Grid災害タスクフォース WMS配信
GetCapabilitiesを押すと,OnlineResourceの行にWMS配信用のURLが示されています。

地すべり地形分布図 for Google Earth (防災科研)

 

5. Google Earth を使ってベクトルで見て操作する

 GEを使うと重いのだけど,手続きとしては極めて簡単にベクトルをダウンロードすることができる。一図廓だけ,まずはkmzファイルが必要になる。その一図廓ここに掲載したいけれども,違法行為なのでできない。
 さて一図廓がGEのお気に入りあれば,次のように,次から次と,他の図廓の地質図もベクトル(ポリゴンとライン)でダウンロードできる。

0. 20万日本シームレス地質図を一つ(一次メッシュ図廓)でもGEに取り込めば,後は簡単に別の一次メッシュを取り込めることがわかった。
1. Google Earthでベクトル型(geologyとlineからなる)の一次メッシュ図廓上でどれでも地質ポリゴンをクリックすると,その属性情報を見ることができる。
3. この表の右下に,Go to GSJ siteのリンクがある。これをクリックすると,GEのメーンペーン内で産総研のウェブページを表示できる。ここで,日本シームレス地質図,のリンクをクリックする。
4. 次のページは,ダウンロードの取り扱いについて,というページで,この最下部に,ダウンロードをしますか? という表示があり,はい,と回答する。
5. 例えば,奄美大島を主とする4229をクリックする。そうすると,上部にその図廓名と関連ファイルが並ぶ。ここではベクターデータのkmlの詳細版を選ぶ。そうすると,WebページからGEの画面に変わり,ベクトル型の地質図が表示される。GEに取り込まれた訳である。
6. GE終了の際に,保留フォルダーからお気に入りに移動しないとGEに最終的に保存されないことはもちろんである。

引用例:産業技術総合研究所地質調査総合センター (編)(2011) 20万分の1日本シームレス地質図データベース(2011年6月29日版). 産業技術総合研究所研究情報公開データベース DB084,産業技術総合研究所地質調査総合センター.

 

6. Google Earth を使って,特定の地質ポリゴンを出力しQgisで表示

 5.で取り込んだ地質図は表示が安定すると,マウスポインタが手から矢印型に変わる。そして,何らかの地質のポリゴンをクリックする。下の図は一例を示す。奈良盆地南部の耳成山の上部を構成する岩石のポリゴンをクリックすると,左のペーンの,1040中期中新世-後期......も選ばれる。geologyの階層のチェックを外すとGEのメーンウィンドには地質情報が消える。そして,左のペーンの,1040中期中新世-後期......,にチェックを入れると,これだけが下の図のように表示される。

 ファイル/保存/名前をつけて保存,を選ぶ。保存場所を指定する画面が表示される。自動的に名前はこの地質名が表示される。フォーマットは,kmlとする。

 

 そしてQgisを立ち上げて,左のペーンのレイヤに,このkmlファイルをドラッグアンドドロップする。下の図には,このベクトル名をダブルクリックして座標系も示している。

 座標系を平面直角座標系IVに変換して,Grassのmapsetに個々に運べばいい。Grass単独でv.extractした方が時間的には早いだろうが,地質情報を見ながら実行できるので作業の中味を実感できるのがいい。

 

7. Grassだけで

 上に描いたように,QgiskからGrassに出力したベクトルマップはGrassでは全く使えない。
 もの凄い遠回りをした。シームレス地質図シェープファイルを座標変換したあと,dbf viewerで列データが日本語のものを削除すると,見事に,gis.mでも取り込むことができた。

 v. extractも問題なく実行できた。

v.extract input=Wakayama5135dGeologyPolygon@Asuka output=Wakayama_1567RyoukeMeta type=point,line,boundary,centroid,area,face layer=1 {where=New_No = 1567} new=-1 --overwrite
27 categories loaded from table <Wakayama5135dGeologyPolygon>
Extracting features...
Building topology for vector map <Wakayama_1567RyoukeMeta>...

Registering primitives...

140 primitives registered

2065 vertices registered

Building areas...

v.extract complete.

33 areas built

28 isles built

Attaching islands...

Attaching centroids...

Number of nodes: 135

Number of primitives: 140

Number of points: 0

Number of lines: 0

Number of boundaries: 112

Number of centroids: 28

Number of areas: 33

Number of isles: 28

Number of areas without centroid: 5

Writing attributes...

このようにして取り込んで表示を考慮したものが次の左の画像である。参考に右にはシームレス地質図のepsファイルの画像を示している。耳成山と畝傍山が左図では緑,右図では黄緑で示している。

 

8. イラレへとGrass間のデータのやりとりに関連して

 このサイトから20万分のT地質図をダウンロードして,Illustratorで作業をして,shapeファイルを作成し,GISに掲載する際,4隅の経緯度を知る必要がある。
H.14(2002)年の測量法改正により,標準地域メッシュも世界測地系に変更すべきではあるが,「旧来の日本測地系による地域メッシュについては、JISの追補により「地域メッシュコードN」と表示することによって、今後10年間に限り猶予措置が設けられました」,とあるので,H.24(2012)年までは,旧測地系の経緯度の区画が採用されるということである。
 ところが,GISに落とすと,この文章のようではなく,シームレス地質図の区画は世界測地系での下記の経緯度であった。5235では,52/1.5= 34度40分が南端の緯度で,この40分北の35度20分が北端の緯度。35+100=135度が西端の経度で,これに1度足した136度が東端の経度にあたる。
 産総研の宝田さんからベクトルファイルを送って頂いた。その.prjファイルをWordで見ると,

GEOGCS["GCS_JGD_2000",DATUM["D_JGD_2000",SPHEROID["GRS_1980",
6378137.0,298.257222101]],PRIMEM["Greenwich",0.0],
UNIT["Degree",0.0174532925199433]] 
であった。

ArcGISの次のサイトを参照。http://help.arcgis.com/ja/arcgisdesktop/10.0/help/index.html#//003r00000006000000

地理座標系とは
Resource Center » 実用ライブラリ » ガイド ブック » マップ投影 » 地理座標系
地理座標系(GCS)は、3 次元の球面を使用して、地球上の位置を定義します。GCS は測地基準系と呼ばれることがありますが、測地基準系は GCS の一部にすぎません。GCS には、角度の計測単位、本初子午線、および(回転楕円体に基づく)測地基準系が含まれます。
ポイントは、その緯度と経度の値によって参照されます。緯度と経度は、地球の中心から地球の表面上のポイントに向かって計測された角度です。多くの場合、これらの角度は度(またはグラジアン)で計測されます。以下の図では、世界が経度値と緯度値からなる球体として示されています。

 国土地理院のシェープファイルは世界測地系の経緯度データということである。以上