放射性炭素年代測定のスタンダード試料はUS Geological Survey製のNISTIIである。これはシュウ酸28gで3万円する。こういうものに限って学生が失敗をする。場合によっては3個目でやっとできるということが最近あった。9万円である。
この対策として,Wallac stdを使った方法をぼくは提案しているが,もう少し基礎実験を重ねた方がいい。
小元久仁夫先生はエタノールにシンチレータを入れて直接測ればどうかという。この1月末の話である。醸造用アルコールの原料は馬鈴薯やサトウキビである。今日,ある試薬製造会社に電話して試薬を手に入れようとしたが特に特別なものがあるわけではない。
さて,小元先生ご紹介のものは,スペクトル用特製試薬 エタノール 99.5% 上野化学工業(大阪府枚方市)とあった。前述の電話先はここの工場長である。氏によればそういうものは無いという。しかしラベルを小元先生の研究室で確認しているからおかしな話である。
さて,エタノールは99.5%の方が95%のものより良いはずだが,実はそうではない。エタノールの純度を上げるのに蒸留法を使うがこの方法では95%が限界という。99.5%にするためには微量のベンゼンを入れる必要がある。
「エタノールは蒸留を何回も繰り返して、精製される。エタノールと水の混合物を蒸留する場合、エタノールの濃度が95%に達すると、それ以上、濃縮されず、95%でとまってしまうのである(モル比で表すと、エタノールのモル比が0.9でとまる)。化学的に言うと、液相のモル比が0.9のとき、それが蒸発してできた気相のモル比も0.9となる(これを共沸点という)。そのため気相を冷却して凝縮させても、モル比は同じく0.9のまま。だから濃縮されないのだ。」「5%よりも、もっと濃くしたい場合どうするか?エタノールと水の系にベンゼンを加えて、蒸留するのである。だから。99.5%のエタノールには微量だがベンゼンが残留している可能性がある。ベンゼンは発がん性のある物質だから、飲んではいけないし、吸うだけでもよくない。」http://tsuyu.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/995_a8e4.html
という訳で95%醸造用アルコールを手に入れる必要がある。工業用アルコールにはメタノールなどの不純物が入っており命が危険だ。
(Feb. 27, 2011) その後,ネットで大洋製薬の薬剤担当者から,中央化学工業をご紹介頂いて,
無水エタノール500ml 1100×2=2,200円 送料500円 消 費 税 135円 計2,835円
を手に入れた。無水エタノール(別名:無水アルコール)は,日本薬局方の規準では,15℃でエタノールを99.5v/v%以上含むもの。前述の95%の方が適当としたが飲む訳では無いので水成分が少ない方が水によるノイズが少ないと考えた。測定結果については,別途,このサイトに示す。
実はショ糖などを直接水に溶かして,水溶性のシンチレータで放射能の計測が可能である。ただ,溶媒の水が一般には汚染されているのでこの方法は適切ではないであろう。
2010年末から2011年の1月6日にかけて20試料の1000分計測を実施。ところが1/6に回収のためQuatulusを設置している部屋に入って取得データをみたら,26サイクルが始まったところで中断している。Quantulusを見ると,キャリアが元の位置に戻らず,計測途中になっている。測定チェンバーにピラーが入ったまま。よくみると,wallac stdのグラスバイアルが落下してキャリアの移動レールに挟まっていた。
事務室に冬休み中の停電が無いことを確認したがそういう結果になった。この事故理由をしるために再度,事務室に確認。その結果,関西電力の情報として年の変わり目に2回,落雷による0.01秒レベルの通電の遮断が2回あったことがわかった。
このような経験はQuantulusを導入して10年余,初めてのことである。今後,まじめに年代測定の実験をする,ってことで,無停電電源装置を購入することにした。
富士電機システムズ(TDKラムダ) 型番DL5115-1000jL HFP
http://www.fujielectric.co.jp/products/power_supply/sustainable/ups/mini/dl5115.html
仕様は,1000VA 670W,商用給電時とバックアップ運転時で変わらない。停電時切り替え時間(商用←→インバータ)10ms(0.01秒 この値がぎりぎりで今回のような状況に対応),重量は13kg。pcは通信管理を望まないのなら不要。
接続形態については,入力出力5-15P付き入力電源コード(1.8m),Rコンセント6個出力5-15Rコンセント6個,
最大入力電流については,12.0A,定格出力電流10.0A。Quantulusは本体200VAで冷却装置350VAだから,550VAで5.5A使用。Quantulusに接続しているPCにも接続しても1kVAには問題ない。コンセントは6個用意されているから問題ない。
バッテリについては,種類 制御弁式小形鉛蓄電池:期待寿命(周囲温度25℃:5年),容量/個数 9Ah/12VDC ×2個,バックアップ時間 5分(定格100%、周囲温度25℃での満充電状態からのバックアップ時間(バッテリ新品時)),最大バックアップ時間(軽負荷時の過放電保護による制限時間) 60分 2.5時間。
設置について,関西大学事務室のご協力を得た。Perkineimerの森英策さんにお尋ねし,接続に問題はないとのことである。
半年ほどの在外中に全く使っていなかったこともあり,ベンゼン合成装置のガラス回路の破損,電気炉のカンタル線が断線した。前者は宮城県利府町の佐藤製作所で修理した。2万円ほど。 そして電気炉はアオイ電熱で修理をお願いしたがH.11年に作ってもらったもので本体の劣化があって修理が難しいと言われて,新品を作っていただいた。11万円+消費税だから,割安だと思う。通電チェックでは問題が無かったので,他の制御系に問題があると考えたが,電気炉に原因があるように思われてまずはとアオイ電熱に電話し出向いた。アオイ電熱のお話では,カンタル線が切れていて,低温では通電があるが,熱を上げると膨張して断線するという。この説明に納得できた。数日中にベンゼン合成装置に繋いで確認したい。 ぼくが設計した反応槽は厚さが3mmであった。使っていく間に底部が大きく凹み,破損してリチウムが電気炉に流れ出すことを恐れて,厚さを10mmにした。その結果,反応槽内の温度上昇に問題が生じていた。反応槽の変更後,ベンゼン合成がうまくいかない現象があった。今回,電気炉が壊れたことで,これまで底部800W,二つの側面400Wずつであったが,側面について600Wずつに変更できた。これで出力が大きく向上するので,新規の反応槽での実験が改善されるのではないかと期待される。
新規のもの: フィブロタル 内径105φ-100H,側面100V-600W×2,底300φ-75H,100V-800W×1
つぎの写真は壊れた方:
反応槽の昇温過程を林電工製熱電対を使って佐藤さんがチェックしていたら,オムロンの温度表示部が000でブリンクした。オムロンに効いたら,これは断線したことを示すらしい。そこで,残りの熱電対を代用したら戻った。リード線の部分が断線したと考えてテスタで調べたら,スリーブとシースインコネルの心臓部で断線していた。他社のをみたが適当なものがない。林電工のウェブサイトで同型の下記のものを見つけた。
「林電工製シース熱電対 SKシリーズ シース直径8mm シース材質B(ニッケルクローム系耐熱合金(インコネルなど))が1050℃に耐える」
八洲薬品を通じて注文。注文したものの正式の表現は次のよう
シース熱電対 種類: SK, シース径8.0 mm, 素子数:1,測温接点形状:非接地型,規格:JIS C 1605-1995, 許容差:クラス2 (旧0.75級)
サイズは,先のシースインコネル径8.0mm,
スリーブSUS303 径10.0mm,
WX-H7/0.3補償導線 ガラスウール被覆 から熱収縮チューブまでは2940mm
M4絶縁付き先開形圧着端子2本から熱中収縮チューブまでが60mm
価格:8900円 納期3週間以内
これで2度目だ。前はかなり湿った大きな材を入れていた。漏電ブレーカーが切れた。今回は,炊飯器内釜を入れていた。2日間で,停止。対処法は,タッチパネルを含む最下部の枠を底面の木ねじ3本を外して,右端のブレーカー背面の湿気を拭き取った(外したがこの意味はない)。周辺回路を含めてドライヤーで乾燥させる。乾燥器を横転させたままで,電源を入れても,改善されなかった。ところが,立てて電源を入れたら始動したら,スタートできた。
奈良科学技術先端大学の事故例に,このフラスコをアセトンで洗って恒温乾燥器に入れて,爆発してこの鉄の扉が飛んで対面する壁に当たったとある。観察者がいたらしい。
これまで,当実験室では問題が無かったが,十分にアセトンを切ってから,入れる必要がある。温度は80度以上上げてはならない。
06/10/14にこのことを忘れて,ベンゼン合成回路の水銀除去後,水道で流して後,乾きを早くするためにメチルアルコールで洗って,それを十分に切らずに,恒温乾燥器に入れて10時間,80℃でセットして,実験室を出てしまった。学舎を出てから気づいて,現在,心配中。
森英策さんから。Jun. 24, 2005
上の表示がstableになっている必要がある。移動のためかどうか,わからないが,外部線量排除の回路が働いていなかった。チャネル1-1024の中で最大は通常は800〜900であるが,1000を超えていた。stableランプも点かなかった。
それでボードを交換した。その結果,この問題は解決した。
過去のスペクトル分布をみて,ズレがあるかどうかのチェックをすること。
冷却器も不具合があり,修理した。
エアコンは20〜25℃の設定が望ましい。
プログラムの更新を実施した。QueManagerは1.2から1.3に。
SPAは2.1から2.3に。SPAプログラムは西暦が2000年以降は2桁表示しかできなかったが,4桁表示となった。